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知らないことを知るということ。

1月14日、相変わらず雪が降っている。
私が働いている部署の中で楽しい先輩や、同期が退職し、これから新しい場所での仕事が始まる。
最近は大好きな人達がこの地からいなくなり、それぞれがバラバラになってしまうことに寂しさを感じてしまう。

“ここにいると何も変わらない” “新しいことを始めたい” “この職場はダメだ” “残業しているのに給料が充分にもらえない”とみんな口を揃えて不満を言う。
私自身はそれを聞いて本当にそうだろうか、と思うことがある。

私は整形外科病棟で働き出して3年目の看護師。
専門学生の時に実習で足を骨折した60代のおじさんを受け持ち看護をした。
私が何かをしてあげたのではなく、患者さんの日々の会話から得て学ばされることが多くあった。1番楽しかった実習だった。

だからこそ、第一希望は整形外科にしたのだ。(正直どこに行っても良かったが)

1年目から人より覚えるのが遅い私はたくさんの人達に迷惑をかけた。時間管理が出来なくて、その日1日の行動調整を担当の先輩看護師に伝えることが1日の始まり。忙しすぎて時間処置を忘れてしまうことも多々あり、タイマーをかけなさいと言われるが、そのタイマーをかけることを忘れるくらいポンコツだった。担当の看護師は私に付きっきりだったので、毎日残業。溜息をついていた。
でも先輩方は決して私に嫌味を言ってくるわけでもなく“どうしたらできるようになるか”を1番に考えてくれていた。「ここまで(できなくて)心臓をぶち抜かれる気持ちは初めて。」とある先輩は言う。それでも今まで熱心に指導してくれてた先輩方には感謝しかない。

そんなこんなで3年目になり、リーダー業務を任されるようになった。またさらに後輩ができてたまにおちゃらけるくらいの余裕が出てきた。今度は指導する立場。

と思った矢先、大好きな人達が新しい経験を求めて、新しい場所へと向かっていく。
あと1年働いて辞めると話す後輩もいる。
私はこのままここで足踏みしているだけで良いのだろうか。と考える。
正直、整形外科は若かったり元気な患者が多く、回復も早い。そのことは他の診療科と比較するととても良いことだけど看護師としての経験値としては低い。だからこそ、もっと経験したい と全く違う診療科に移動する人も多い。

昨日、多くの場所で経験してきた先輩と一緒の夜勤だった。

その中でもやはり、辞める話になり、
「nyaさんはこれからどうするの?辞めるの?」と聞かれた。

「周りの人は未来のビジョンがあってすごいと思います。何をしたいのか正直わかりません。このままでいいのか。やっぱり新しい環境で経験していった方が自分のためにもなりますかね。」

「それはそうかもしれないけど。だけど環境が変わるからといって必ずしも成長できるわけではないよ。私も3年目くらいまでは何も楽しくなくて辞めようかと思った。でもリーダーを任されるようになってきたあたりから、周りを見渡せるようになって始めて仕事が楽しいと思えたんだ。」

そんな話をした。それから先輩は異動しながらもずっと今の病院で働き続けている。

「私はまだ自信がないです。ここでの仕事も全てわかったわけではないし、だからこそもう少し勉強して成長した方がいいのかな、と思います。」

「そうそう、そうだよ。そうやって気づけるのが素晴らしいと思う。学生の時の哲学の授業ってすごく眠たくてみんな授業中に寝てたんだけど、一つだけ先生の話してたことで覚えてることがあるんだ。「ソクラテスの無知の知。自分が知らないということを知ること。それってすごく大事だと思う。みんな知った気になってるけど、実は知らないことはたくさんある。nyaさんは自分が知らないことがあるからもっと勉強して成長したいと思ってるでしょ。それってすごく大切なことだし気づけたことはすごいよ。だから焦らなくていいんだよ。」

と言ってくれた。 なんだかその言葉で安心して、無理に環境を変える必要や、人について行こうとしなくていいんだと思えた。

私は沢山の人に支えられてここまで働けている。毎日ストレスを感じながらも一生懸命働けることにたまにやりがいも感じることは確かだ。
もう少しここで頑張りたい。
もっと自信をもちたい。支えてくれた先輩方を超えるくらいの人に。
できれば資格もとれたらいいなと思う。

そして今年のおみくじで引いた“いつも周りを笑顔に華のある人”でありますように。

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