北関東5大学対校陸上競技大会のサポート
2023年11月4日(土曜日)に、カンセキスタジアムとちぎにて開催された、第74回北関東5大学対校陸上競技大会のサポートに関するあれこれを綴ります。
北関東5大学という大会
この「北関東5大学」とは、北関東に位置する国公立大学;茨城大学・宇都宮大学・群馬大学・埼玉大学・高崎経済大学の5校による対校大会となります。また、5校の部員以外でも、日本陸連登録選手(学連登録選手を含む・ただし高校生以下は対象外)はオープン参加が可能となっています。
今回で74回という歴史ある大会です。創設年は(2023年からの引き算で)、1950年=戦争終了から5年後頃に始まったものと推測されます。同じくらいの回数のものとして、インターハイ=全国高校総体陸上などがあります。この時期、現在まで続いている、歴史ある様々な大会が創設されていたことがわかります。
今回の参加規模は、5大学の選手が243名、それ以外の所属のオープン選手が50名ということで、割とコンパクトな大会です。ただし、対校では得点を稼ぐために、ひとりで3種目+リレーに出場する選手がおり、また、リレーも1日のうちで4継・マイルのそれぞれ男女があります。最終種目のマイルではオープン参加が男子5組・女子1組あり、たいへん盛り上がりました。各大学OBや地域社会人などの参加もあり、人数規模の割にはとても賑やかな大会でした。
栃木県開催の前回は、2019年10月6日でした。4年に一度程度に輪番で幹事が回ってくるというサイクルになります。
これらの地方国公立大学では、競技実績等に基づく特待・推薦で入学する選手の数は限定的であり、競技水準は選手間でかなりの開きがあります。インカレで活躍する選手から、競技を始めたばかりの選手まで、様々です。こうした学生ひとりひとりが真剣に競い合い、競技を通じて交流する姿を見て、改めて陸上競技・スポーツの素晴らしさを感じました。とても良い大会だと思います。
記録情報処理のサポート
私はこの大会の運営に際し、参加募集・プログラム編成・当日の記録処理・賞状発行・事後の公認記録申請について、サポートを行いました。
自分の子どもと同世代の、宇都宮大学の学生と連絡を取り合いながら準備対応を進めました。私との窓口になった学生との連絡履歴について、メールボックスの送受信記録を見ると144件ものやりとりがありました。ほかにも電話通話で何度も会話を重ねたほか、対面での打合せも複数回にわたり行いました(お疲れさまでした)。
学生諸氏から聞いたところでは、今の3年生が高校3年生だったときに、ちょうどコロナでインターハイが中止となった年代だったとうかがいました。また、入学後も部活動の活動制限が長く続き、大会参加や練習など、諸活動が一定期間、停滞してしまっていたとのこと。今回の大会運営はとても大変だったと思いますが、良い経験・学びの機会になったのでは無いかと思います。
システムを利用した記録情報業務は、昔のように、人海戦術で手分けして行うような作業はごく限られています。業務の総量は圧倒的に減ったものの、ひとりの担当に業務が集中しがちです。それを学生に丸ごと任せる訳にはいかないので、作業の過程・工程を説明しながら時折、陽判断事項やリクエスト事項などを確認し、私の方で実務の多くを対応しました。
要項内容の確認については栃木陸協の競技委員長が対応し、その内容に沿ってNANS21Vのエントリー用データベースを作成しました。前回までは、学生がエントリー募集をして手作業でプログラム編成を行い、そのできあがったものをNANS21Vに落とし込んでいったのですが、それは非効率であるため、通常の栃木陸協の競技会と同様にNANS21V・Webシステムで募集を行い、生成されたデータベースを元に、学生諸氏と共同でプログラム編成を行いました。
NANS21VシステムのUIは、PCのOfficeソフトに慣れている人であればすぐに習熟できると思います。はじめは、一部、独特の操作感があるのに戸惑うのと、編成のルール・規則がなかなか覚えられずに細かなミスがでたりはしますが、学生4人の手により2時間程度の作業で概ねの編成が完了しました。
あとは日を改めて、タイムテーブルに合わせてデータを微調整したりプログラム表記の工夫をしたり、大会記録を設定したりといった作業を加えていき、学生に内容をチェックしてもらいながら、プログラム冊子PDFを完成させました。大会10日前くらいだったでしょうか。
大会当日は、通常モードで大会運営を進めました。なお、審判員人数が不足していたため、フィールド種目については現地入力ではなく紙媒体記録用紙に手書き記録し、それを記録室で入力していく手法で対応することとなりました。そのほか、大型映像は利用するがグラウンドLEDは利用しない。スマートフォン用速報サイトは通常通り。といった具合でした。
反省の備忘録
続いて備忘録的に、反省面やマイナス面などを書いてみます。
対校得点集計の誤り
この大会では1位6点から6位1点までの逆算集計となっています。通常は1位8点から8位1点までの逆算でありシステムの設定を変更して対応しました。ところがクライアントPC端末のひとつに設定が直っていないものがあり、そこで集計した結果が反映されてしまったため、速報で示した得点が間違えてしまっていました。
更に参加人数が少ない種目では、点数が減算される特別ルールがあり、この適用も速報時に失念していました。このことで1部の種別で順位入れ替えが生じてしまうという事態になりました。こうした点、参加各校の皆さま申し訳ありませんでした。
賞状の元原稿様式
当日学生から渡された賞状を見て腰が抜けました。全種目名・順位が指定された、1枚1枚が異なる様式の賞状でした。この点、事前に打合せが不十分だったことが災いしました。
どういうことかというと、現行のシステムでは競技終了後、対象種目・対象選手をチェックすると、自動で種目・順位・選手・記録などが一括で、賞状に「差し込み印刷」できます。つまり、賞状の用紙はすべて共通の枠組み・文言のみ印刷された、1種類のみがあればよいこととなります。ところが種目別・順位指定で用紙を用意されると、いちいち用紙を選んで差し込み印刷をしなければならず、失敗したら無駄になります(2回目は内容を変えて種目名・順位を入れなければならない)。
しかも賞状の種類によって、種目名表記の長さが異なるため、順位・記録などを記載すべき位置がずれるので、1回毎に白紙の用紙にテスト印刷をして、それから本番の賞状用紙で印刷する…という流れとなりました。
この作業に大変な労力を費やすことになりました。実は今年度、こうした事態は2大会目のことでした。次からは「2度とやりたくない」と思う、気の遠くなる・無駄のある処理でした。
式典の準備不足
記録情報のこととは別で、事前の打合せで開閉開式があることは学生と共通理解していましたが、音響設備やテーブル等の準備が一切なされておらず、開始間際に慌てて準備するという一幕がありました。
こういうことは、毎年行っている行事であればあり得ないと思いますが、4年に一度、すなわち学生の代が入れ替わっての次回大会開催となると、反省が引き継がれずに、また次回に繰り返しかねないもの…となってしまうことが懸念されるところです。
こうした課題・反省点については学内で記録に残していただくと共に、来年度の幹事校にも引き継いで、同じミスが繰り返されないように対応していただければと思います。
結びに;県内大学協同の大会開催に向けて
栃木県内には、今大会で主催を務めた宇都宮大学の他に、作新学院大学・白鴎大学がそれぞれ活発に競技活動をしています。作新学院大学ではスプリント種目、白鴎大学では女子駅伝が、それぞれ全国区で活躍されています。
こうした大学間で協力し合い、オープン競技会を定期開催できると良いと思います。そして運営のノウハウを身につけた学生が、卒業後にも県内の各種競技会で支える立場となり、審判員・競技役員として競技に関わり続けることができる流れができると、非常に良いでしょう。
現在、そうした流れづくりに向けて準備を進行中です。「学校の教員に依存しないスポーツ環境づくり」と、「人材の新陳代謝の促進」に向けて、歩みを進められればと願います。