NANS21V-Web登録サービスのメジャーアップデート
NISHI社による陸上競技大会エントリーシステム「NANS21V-Web登録サービス」のメジャーアップデートが発表されました。
これまでExcelベースで処理していたものが、ブラウザベースで処理する方式に変わりました。選手の基礎データも、ExcelファイルではなくCSV(≒テキスト)ファイルを扱います。大変画期的なアップデートです(私にとっては「夢の実現」といってよいほどのものです)。
利用環境に制約があった
栃木の公認競技場で扱っている記録処理システムは、NISHI社による「NANS21Vシステム」です。同様のシステムを扱う会社・サービスは、日本全国を眺めると他に複数あるようですが、現在はNANS21Vがトップシェアであると聞いています。
以前に一度、記事に起こしたことがありましたが、これまでNANS21VではWindowsパソコン上でMicrosoft Excelを利用しないと、正しく処理できませんでした。マクロが組み込まれたExcelファイルを編集して、それをアップロードすることにより、処理を進めるという仕様です。
そのためExcelの代替アプリケーション(例えばLibre Office、WPS Officeなど)では正しく処理できない。企業などでセキュリティ上の都合からマクロを扱えない環境の場合もNG。スマホ・タブレットも、もちろんNG。
「大会エントリーをするだけなのに、なぜWindows/Excelを使える環境じゃないと、手続きができないの??」素朴な疑問でした。ユーザビリティが低く、不便です。
そのため過去には、スマホやタブレットからもエントリーができるよう、NANS21Vとの併用でGoogleフォームを利用したエントリー窓口を設けたりもしていました。しかし、利用者の中にNANS21VとGoogleフォームの両方にエントリーをしてしまい、選手が重複したままの状態でプログラム編成をしてしまうことがあったり、Googleフォームからデータを変換する際に本来の希望種目とは異なる種目に設定してしまったりするなど、細かなトラブルが発生しがちとなっていました。こうしたことが、NANS21Vシステムの大きな不満点となっていました。
これからは、スマホやタブレットでもエントリーができます… 利用者にとって、敷居が低くなったと思います。大会主催者としても、様々な手間を省けることとなりました。そしてこうしたサービスを無料で利用できることは、本当にありがたいと思います。
(余談ながら、「WindowsやExcelに制約されないサービス」が広まると、ChromeBookも普及するようになるのかな?と考えたりします。しかしなんだかんだで、ChromeBookって余り使わないですよね。ハードの仕様も中途半端で、買うのがもったいないと思っています。ChromeBookの新品を買うよりも、Windowsの中古を買った方が良いかな、思ったりします。)
日本陸連の大会エントリーシステムについて
既に、日本陸連でも2021年頃から大会エントリーシステムを公開し、運用を進めています。日本陸連が主催となる各種競技会では、そちらを利用してエントリーが進められているようです。
日本陸連のシステムでは、大会エントリーの際に、日本陸連が持つ「競技者登録のシステム」「選手の所持記録のデータベース」とリンクさせながら処理ができるという、極めて大きなメリットがあります。NANS21Vシステムに対し、大きなアドバンテージになるものといって良いでしょう。
2022年の栃木国体でエントリー業務を担った際、このシステム利用に関わる機会があり、本当に素晴らしい仕組みだと感心しました。そのため長期的な見通しとしては、日本陸連の大会エントリーシステムが中心的に活用されるようになるのではないか…と想像しています。
これまでにおいて「NISHI社のNANS21Vシステムは無料サービスであり、社にとってはオプション的な事業であることから、近いうちに(発展的に)廃止されることもあり得るのではないか」と思っていました。それが、日本陸連のシステム公開後、3年が経過した現在において、NISHI社からメジャーアップデートが発表されたことは、正直なところ意外でした。
他県の記録情報担当者から伝え聞くところでは、「(2024年冬の時点において)日本陸連のシステムは便利に利用することができるが、大会主催者側からみた完成度については必ずしも十分なものとはいえず、一定の課題がある」ということでした。(ただ、それはNANS21V-Web登録サービスでも初期の頃は同様でした。)
ともかくは、NISHI社、日本陸連、いずれのシステムについても、利用者にとって便利に利用できるものとなるよう、期待したいと思います。
今後のシーズンインに向けて
栃木陸協では、3月23日(土)の記録会のエントリーが本日・2月23日(金)から始まりました。また、3月に入ると間もなく競技者登録の手続きが始まります。これらの処理に(例年のことながら)従事しています。
昔…私がこうした業務に関わり始めた20数年前と比べると、格段に(というより圧倒的に)便利になり、効率が良くなりました。当時、人海戦術的に多くの人の手をかけ、時間をかけて行っていたことが、たった数人の手で、あっという間にできるようになりました。
特に、時間と場所を定めて会議を行わなくても、クラウドサービスを活用するなどして、各担当が好きな時間に好きな場所で、分散して作業処理を行うことができるようになっています。特にこの数年においては、コロナ禍を乗り越えた経験と教訓から、ある意味、様々なアップデートができたという感じがします。
今後においても、選手が記録の向上を目指して日々努力を重ねるように、支える立場の私たちも、絶え間なくアップデートを続けられるよう心がけたいと思います。