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栃木の公認陸上競技大会を増やしたい

2024年9月14日土曜日、小山運動公園陸上競技場(小山市向野)で「小山市総合選手権陸上競技大会」が開催されました。地域の中学生が参加主体であり、ほか小学生や一般の方が参加し、400名弱の規模で行われました。

この大会そのものは非公認競技会ですが、現在、小山市の陸上競技組織では「公認競技会の独自開催」をめざし、取り組みを進めています。私は主催関係者からの依頼を受け、大会における記録情報処理業務のサポートと、同市で行う記録会の公認化に向けた支援を手がけています。

ここでは、そうしたサポート対応の内容や経過などについて、備忘録的に記してみます。

小山市総合選手権陸上競技大会 当日の様子

大会の運営団体と体制

小山市総合選手権陸上競技大会は、大会の主管を「小山市陸上競技協会(以下「小山市陸協」)」が担い、後援に「小山アスレチッククラブ(以下「小山AC」)」が位置づきます。

小山市陸協は、小山市スポーツ協会の加盟(傘下)団体です。一方で、小山ACは栃木陸協の加盟(傘下)団体です。会長など役員は異なりますが、現場としては、ほぼ同一のメンバーで構成されているようです。

栃木県内の公認競技会の開催にあたっては、主催団体のひとつとして「(一般財団法人)栃木陸上競技協会」が位置づくことが前提条件となります。そして加盟地域陸協が運営主体となる場合においては、その地域陸協(小山市であれば小山AC)が主管を担うことが必要です。

小山市陸協では、12月中旬にも記録会を開催する予定です。それを公認競技会として(栃木陸協の承認を経た上で)開催するには、主催「小山市陸上競技協会・栃木陸上競技協会」、主管「小山アスレチッククラブ」、後援「小山市・小山市スポーツ協会」などとして進める流れになると思います。

小山市陸協と小山ACとで、事業に対する組織の位置付けや実務上の役割分担などを上手に整理して、適切に連携を図りながら実現に向けて動いていけると良いと思います。

小山市の陸上競技場

小山運動公園陸上競技場

栃木県内における公認競技会の一覧は、栃木陸協の行事予定からみてとることができます。2019年から2022年まで、小山市では公認競技会が1件も行われていませんでした。従来、この競技場では「小山市総合選手権陸上競技大会」をはじめとする、地域の非公認競技会のみが開催されてきました。

栃木陸協主要年間行事予定
2024年2023年2022年2021年2020年2019年

一般財団法人栃木陸上競技協会ホームページより

小山運動公園陸上競技場は、第3種公認を維持されています。県内競技場のいくつかが、公認を申請しない・継続しない状況下にあって、大変ありがたいことです。最新の写真判定機「NISHI・MF2000」を備えています。

素晴らしい施設を備えていますので、定期的に公認競技会を開催し、地域の陸上競技振興にフル活用したいところです。小山市陸協・小山ACでは「せっかくの公認施設なのだから、公認競技会を開催していこう」と、2年前からアクションを起こされてきました。

そして2023年より、栃木陸協が主催する記録会を年2回、8月末から9月初旬の頃(第4回)と12月中旬(第5回)に開催することとなりました。まずは、地域独自で公認競技会を開催する前の段階として、栃木陸協が主体となり開催し、軌道に乗せてから、地域で開催できるようにしようという公算です。

運営スタッフの充実

公認競技会開催の課題・ポイントのひとつとして、電気計時と風力測定を的確に行うことが挙げられます。小山市の強みは、小山ACのメンバーが栃木陸協の写真判定主任と風力主任であるということです。このあたりの業務を、しっかりと押さえることができます。

ほかの審判業務については、審判資格を持つ学校教員が地域に多数いらっしゃいますので、参加生徒の引率を兼ねて従事していただければ、安定的に公認競技会を開催することができる見通しとなります。

そして、競技会開催に向けて中心的な立場で専心してくださる方が、3~4名程度いてくださると、うまく運営できるようになります。関係団体との連携を調整したり、地域の人材を上手にコーディネートしたり、裏方の雑務を丁寧に行ったりするなど、大変な労力になりますが、大切な役割となります。

現在の小山市には、こうした役割を担うにふさわしい、高い意欲を持つスタッフが揃っており、公認競技会開催に向けた諸条件が十分に整いつつある状況です。

そして今回、代表の方から支援の依頼をいただき、お手伝いをする運びとなりました。

情報処理業務の支援

公認競技会開催に際してネックになりやすいのが、情報処理業務です。今回、その省力化と標準化を目指し、取り組みを進めました。

昨年度まで小山市では、静岡陸協による「上陸」システムを活用されていました。それを今回から、エントリー募集から当日の大会運営までを、NISHI社によるNANS21Vシステムに変えて実施することにしました。

情報処理業務は、昔ながらの人海戦術で行うのと電子化されたシステムのもとで行うのとで、労力や要する時間が大幅に変わります。

ネットでのエントリー、写真判定結果の自動出力、リアルタイム速報、リザルト一括出力など。「上陸」も優れたシステムで、これら諸機能の実現が可能ではありますが、栃木県内でメジャーなNANS21Vに切り替えることにしました。

情報処理業務のサポートをさせていただく際、私が丸ごと業務を引き受けてしまうと、担当のルーティンの習熟が遅れ、運営の自立と円滑化が遅れてしまいます。そのため手間がかかっても、なるべく地域担当者ご自身に多くの作業を対応・経験していただけるよう手配をしながら、取組を進めました。

結果的に、Webシステムによるエントリー、写真判定結果の自動入力、リアルタイム速報などといった、即時性や利便性に優れた記録処理を実現でき、今回の大会「小山市総合選手権陸上競技大会」を成功裏に終えることができました。関係役員・審判の皆さま、大変お疲れさまでした。

次回以降に向けて反省点をフィードバックし、引き続きサポートをしていく予定です。

公認競技会開催後の未来像

地域で公認競技会を安定的に開催できるようになると、事業収益で陸上競技振興に資する様々な取組を展開できるようになります。いくつかの例を挙げてみます。

  • 外部講師を招いて教室を開く

  • 当該地域代表チームの選手ユニフォーム代(の一部)に充てる

  • 教員や地域人材等による新規公認審判取得や公認コーチ資格取得などに際して補助金を出す(地域内に資格を持つ審判・指導者を増やす)

ときおり「儲けを出してはいけない」と考える方がいらっしゃいますが、それは、一部の社会体育団体や学校体育団体などに課せられた自主規制に過ぎません。一般には「儲けを役員や構成員で分配してはいけない」のであって、儲けを出してそれを適切に活用することは、問題ないものといえます。

例えば、高校野球大会を開催する各都道府県の「高野連」などは、その多くが法人格を持たない任意団体でありながら、観客入場料でたくさんの収入を得ており、それを元手に様々な振興事業等を展開しています。それと同じことを、地域の陸上競技協会が行う訳です。

遠い昔には、事業収益を関係役員の懇親会費に充てていた、などということがあったと聞きます。そうした疑いを持たれることがないように、事業と会計の透明性・健全性を確保できるよう、工夫が必要です。例えば、ホームページで公開・広報できると良いと思います。

また今回は、大会期日が県高校新人大会(宇都宮市開催)と被っていました。県内の各地域陸協が主管する公認競技会が増えれば、栃木陸協主催(及び主管)の競技会の裏番組として、別の競技場で、別の公認競技会を開催することが可能になります。

そうした体制を、ぜひつくりたいと考えています。社会人・マスターズ競技者の活動機会を増やすことができるほか、県外からの参加者が増えることによる地域活性化も期待できます。

県内地域陸協のこれから

栃木県内における地域の陸上競技関係者の中には、地域での公認陸上競技大会開催に対し、否定的意見を持つ方もいらっしゃいます。市・町など行政やスポーツ協会などからの補助金を元手に、自分たちの「身の丈」に合った、昔から続けられている事業を粛々と行うのが良い、とする考えです。

しかし、行政やスポーツ協会などからの補助金や支援は限りがあるものす。今の時勢において、地域における陸上競技の振興を図る上では、上手に稼いで、適切にお金を回していくことが必要だと考えます。

栃木県内において地域単位で公認競技会を開催できるところが徐々に増えていくことができるよう、現在 手掛けている小山市を含め、適切に働きかけをしていきたいと思っています。(この note の公開も、そうした取組のひとつになります。)

そしてとりわけ、公認競技会開催に際し、ネックになりがちな情報処理業務について、各地域へのサポートを進めたいと思います。

私は過去、2017年から6年間、佐野スパルタ倶楽部へのサポート経験があります。現在、同地域では、関係者の熱意とご尽力のもと、盛況に各種の公認競技会が開催されるようになりました。現在の小山市には、そうしたポテンシャルが十分にあると考えています。

ほか、宇都宮市・栃木市・足利市でも、それぞれに存在する公認競技場を活用して、各地域独自の公認競技会が展開されるようになることを期待したいところです。

また、ほかの地域を眺めると、真岡市・さくら市では、公認競技会を開催できる規模の陸上競技場を有していますが、公認を取得していません。鹿沼市でも、陸上競技場の改修に伴い全天候化をすることになりましたが、公認は取得しないそうです。

これらの各地域の競技場でも、それぞれにおいて「公認を取ろう」という機運が生まれることを願うところです。そのための働きかけも、今後進めていきたいと思います。