監査役の善管注意義務メモ (その1)
グループ会社の非常勤役員をやっているので、「善管注意義務って、実際のところどうなのよ!」については、絶えず理解のアップデイトやブラッシュアップが必要と思っています。教科書的な整理や判例についてはさんざん研究したけれど、自分の行動規範として腹落ちしないと、取締役会での意見にも迫力というか、感銘力がついていかないと思っています。この数日の気づきを備忘録的にメモ。
【1】 代表訴訟だけでなく、証券訴訟も要注意の時代
上場企業の監査役なら、代表訴訟のことを意識しているだろうけれど、いまや証券訴訟への目配りも必須。証券訴訟といっているのは、ざっくり言うと、株主など証券の保有者が、こうむった損害について、証券法規違反があった先(典型は発行会社)に求めていく訴訟のこと。以前は日本ではレアだったが、最近はそうでもない。その背景には、①株価が下落するような不祥事が起こると、最近は、第三者委員会などが作成する報告書が公表されるため、原告側の主張・立証の負担が軽くなったこととか、②原告を代理する弁護士がネットなどを通じて、損失がある株主(=潜在的な原告)を掘り起こし、原告を集めて束ねる実務が定着したことがある。そしてなにより大きいのは、③代表訴訟の場合は、勝訴しても損害賠償金は会社に入るのに対して、証券訴訟の場合は、勝訴したときの賠償金は原告(およびその代理人)の手にわたること。これは大きなインセンティブになる。