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奥野一成、母校に帰る2024~洛南中学でのキャリア教育講演会「自分自身のオーナーになろう!」~パート1

皆さん、ご無沙汰しております。NVIC note編集チームです。
気づけばまたも1年以上、更新ができておりませんでした…。

さて、ここ最近、銀行や証券会社を始めとする金融機関による金融教育がこれまでになく盛り上がっております。

その背景には、2022年度から「学習指導要領」が改訂され、高校での金融教育が必修化されたこと、2024年1月から新NISA制度が開始したことにより投資の大衆化がより一層進んでいることがあるのではないでしょうか。

NVICでは、高校生向けの金融教育教材を制作している他(参考リンク)、京都大学においても2014年度から寄附講義を実施する等(参考リンク)、若年層の金融教育に積極的に取り組んでおります。

NVICの経営方針の一つとして、「人材育成は最良の長期投資であると心得る。」ということを掲げていることからもおわかりいただけるとおり、NVICでは投資教育を本業としてとらえ、中学生や高校生に向けて講演や出張授業をさせていだくことも少なくありません。

もう4年前になりますが、奥野の母校である京都の私立洛南高等学校の1年生と附属中学の3年生、約400名を対象に「総合格闘技としての長期投資とキャリア」と題した講演を行い、奥野なりのキャリア論をぶつけました(参考リンク)。

その講演がご好評いただいたのか(?)、洛南高校の北川校長先生(奥野の高校時代の恩師です…!)から、また講演してもらえないか、とのご依頼をいただきました。

二つ返事で引き受けさせていただいた今回の講演テーマは「自分自身のオーナーになろう!」。洛南高校附属中学の3年生(約300名)に向けて奥野が熱く語ります。

今回は特別編として、人気投資ブロガーのrennyさん(参考リンク: rennyの備忘録rennyさんnote)に講演の様子を記事化していただきました。
1時間半にわたる奥野からのメッセージをrennyさんの臨場感あふれるレポートでお楽しみください!

<rennyさんより一言>
投資家のrennyと申します。

2019年5月から「おおぶね」の受益者としてお世話になっています。

奥野さんが母校で中学3年生に実施されるご講演をnoteで記事化するに当たり、「ご興味ありませんか」とのお誘いを頂戴しました。お誘いをお引き受けした大きな理由の一つが、奥野さんの母校、洛南高校とのご縁です。

僕が生まれたのは京都、五重塔で知られる東寺さんのすぐ隣の病院です。その東寺さんが経営するのが、奥野さんの母校、洛南高校です。

OBではないものの、自分の誕生地のお隣さんとして洛南高校にはちょっとしたご縁を感じていました。

当日の朝、始発の新幹線で京都に向かったのですが、大粒の雪が舞っていました。

多少の遅れも覚悟したのですが、そのご縁のおかげでしょうか、定刻に到着することができました。

洛南高校に入るのは当然初めてのことでしたが、美しく立派な校舎でした。

会場となった講堂の玄関で真っ先に目に飛び込んできたのがブライアン・アダムス。

掲示板に張り出されている「今週のことば」。そのことばの主がブライアン・アダムスだったのです。カナダのミュージシャンという言葉も添えられていました。ブライアン・アダムスにもちょっとした親近感がありました。

Summer of ’69 の収録されたアルバムReckless、高校時代によく聴いていたからです。

ただの偶然ですが、こんなところにもご縁を感じました。

さて、ブライアンのことば、こうでした。

“あなたの周りを変えようとしてもほとんど意味がありません。まず最初に、自分の信念を変えなさい。そうすれば、あなたの周りのあらゆることがそれに応じて、変わります“

京都のお寺が経営する学校の玄関でブライアン・アダムスとは面白い組み合わせだ、と洛南高校のオープンさを感じていると、講堂に次々と生徒のみなさんが入場してきました。一部の生徒さんは奥野さんの著書を手に携えています。中学生にして「投資」に触れている彼らが羨ましく思えました。

さあ、奥野さんの講演が始まりました。


はじめに

皆さん、おはようございます。
寒いですね、皆さんもコートを着込んでますね(※今回の講演は体育館で実施されました)。

私、実は洛南に入ったの、高校からなんですよ。
皆さん中学からですよね。私が高校生になったちょうど40年前、洛南に中学校ができたのですが、自分は奈良の公立中学から受験勉強して洛南に進学しました。

高校2年生ぐらいに、洛南中学が出来たばっかりだったんで、中学生はどんな人がいて、どんな勉強してるのかなっていうのを中学の校舎に見に行こうみたいなことがあって。見に行ったらですね、高校1年生でやっていた数学Iを中1生、中2生が既にやっているんですよね。

めっちゃ早いわけですよ。びっくりしましたね。こういう天才が洛南の中学に来るんだな、と。ものすごいなんていうか、感動したというかですね、びっくりした次第です。自分が洛南にいた当時は、男子校でした。
それが5年ぐらい前ですね、中3生、高1生向けに今日と同じようにキャリアの講演をさせてもらいました。その際には女子生徒も受講されていたのには驚きました。

高校入学の一番最初に入学式があるわけですけど、もう真っ黒でした。皆さん、今ブレザーですよね。ブレザーで割とかっこいい制服ですけど、僕らのころは詰襟の学生服でしたから。

当時はこの講堂(講演会場)よりも大きめの講堂での入学式でした。もう全員男ですよね。びっくりしました。公立中学校から来たのでここで数年間過ごすのか、とゾッとしたことを思い出します。皆さんは男女一緒に学べるということは非常に素晴らしいと思います。

その入学式で一番最初に聞かされたこと。自己を尊重せよ、真理を探求せよ、社会に献身せよ、この3つです。

これは別に当たり前のことでしょ、と当時は思いました。それほど深い意味を感じなかったんです。だけど、それから40年経って、いや実はこれって結構深いんだなあ、と。皆さん多分まだ分かっていないのだろうと思いますが、結構深い意味合いがあるんだなっていうのがですね、40年経ったらわかると思います。僕自身が40年前の高1生だった自分に言ってあげたいなと思うことを今日はお話ししたいと思っています。

現在の校長先生、北川先生が僕の担任だったんですよ。担任の先生、すごく一生懸命でした。その当時の先生、今の先生の方々は、皆さんを、大事に育ててくださっている、と思います。そうした教育があったからこそという感謝を込めて今日はお話しさせていただきます。

今回、北川先生からですね「奥野君、本も出版して世間からも評判を得ているのだからちょっと何かうちで喋りなさいよ」というお話をいただきました。そう言われるとですね、「はい!わかりました!」ということで今日に至っています。

自己紹介が遅くなってしまいました。奥野と申します。

自己紹介

これまでに色々な本を出しています。スライドに「4冊の合計発行部数は約15万部」と書いてありますが、20万部までは行っていないと思いますが、それに近いところに達しています。

本業は著作家ではありません。投資家です。投資家って何だ?ということを理解してもらわないと、今喋っている人は何者だ、ということになると思うのでご説明します。

このスライドの左側。これが「投資家」です。真ん中の「企業」、会社ですね。皆さんのお父さん、お母さんも何らかの会社で働かれているでしょう。お医者さんも会社です。開業医も含めて、お医者さん業という会社ですよね。

我々投資家は、会社にお金を預けてお金を出します。会社に働いてもらうんですね。その会社が儲けたり、思っていたとおりに利益を生み出してくれる。それが投資家の儲けになります。

出したお金、預けたお金が、10年で2倍になったり、20年で3倍になったりする一方で、その会社が上手くいかなかったり、最悪つぶれてしまったら、出したお金がゼロになってしまうこともあります。

儲かるだけではなくて最悪ゼロになる。どちらも起こり得ることなので、どんな会社かを見極める必要があります。投資家ってお金だけを出して何もしないんですか?というと、そんなことはありません。実際に会社を見に行きます。

先週、アメリカに行って会社に訪問してきました。今回は皆さんの知っている会社はあまりなかったかもしれません。たとえば、コカ・コーラやナイキ。みなさん、ナイキの靴を履いてますよね。そうした会社に訪問してこの会社に預けたら10年で2倍になるかな、なんてことを考えながら、精査して詳しく調べるんです。

3ヶ月前には、イタリアのフェラーリに行って来ました。あの赤い車。皆さんはあの車、一台いくらするか知ってますか?・・・なんと一台5,000万円です。日本の国産車、例えばトヨタだといい車でも500万円ですからその10倍です。

どうしてそんな高い価格になるのか、あの車を持っている(買っている人)はどんな人なのか。それを調べるためにフェラーリのあるイタリアのモデナという片田舎を訪れました。

実はフェラーリを持っている人って資産が10億円以上なんですね。その一人が10台、フェラーリを持っている。つまりお金持ちのための車です。なぜそのお金持ちを惹きつけ続けられる会社なのか、そこで働く人たちはどんなふうに働いているのか、これを現地に足を運んで見てくる、調べてくる。これが投資家です。

皆さん、競馬って知っていますか?競走馬を持っている人を「馬主」といいます。「馬主」が「投資家」に相当します。

馬に乗っているジョッキー。これが会社の従業員みたいな存在です。

お金を出して馬を買って、その馬に乗ってもらって稼いできてもらう。これが投資をしている側と、投資を受けて働いている側との違いになります。
競争馬の周りにいる人は、ジョッキーのほかにも厩舎、調教師、厩務員もいますが、馬主から預かった競走馬が稼ぐために働いています。

皆さんが見聞きするのはスライドの右側の「ギャンブル」の部分だと思います。右側で馬券が当たったり外れたりします。10人で100円ずつ出し合って合計1,000円でギャンブルするわけです。競馬の場合、JRAという胴元がいまして、1,000円から先に250円を取ってしまうんですね。残った750円を10人で分ける仕組みになっています。これ物凄く割の悪い話です。

みんなで話し合って1,000円出し合っているのに最初から250円取られるんですよ。皆さんのお父さん、お母さんが競馬をやってたら、こんな言葉で責めてみてください。

“それってマイナスサムゲームちゃう?”

そう、マイナスサムゲームなんです。

私からすると、右側のギャンブルは数学がわからない人がやるもので言語道断。最初から250円取られてしまうわけだから。私なら左側を選びます。左側が株主になったり、働いたりというゲームです。

左側の仕組みの話です。競馬には賞金が出ます。その賞金の8割を馬主、オーナーが受け取ります。

オーナー、もの凄く多く受け取りますね。それで、このスライドです。

世界のお金持ちを順番に並べた表です。ルイ・ヴィトン、知ってますか。お母さんが鞄をお持ちになっていたりする人もいるんじゃないでしょうか。他にモエ・ヘネシーという高級なお酒の会社。この会社の会長が31兆円ですよ、31兆円!日本のGDPが600兆円、700兆円ですからね。イーロン・マスクは知っている人が多いかもしれません。テスラという企業の社長で宇宙にロケット飛ばしたりしていますね。

日本ではユニクロの社長の柳井さん、ソフトバンクの社長の孫さんもいますね。今ここに挙がった人たちですが、社長「だけ」という人はいません。

子供のころに何になりたいか。と尋ねられると、野球選手とか社長とかの答えが多いかと思います。

大谷選手。野球選手で最高に貰っているのが10年で1,000億円。ここに挙がった人たちからすると「たった1,000億円」になると思うんですね。

野球選手になっても社長になっても、表の人たちのようにはなれません。先程もお伝えしたとおり、表の人たちに単純に「社長だけ」という人は一人もいません。みんな、馬主、オーナーなんですね。残念ながら働いているジョッキーが10兆円、20兆円もらうことは構造的にあり得ません。オーナーにならないと、本当の意味でのお金持ちになれないんですね。

こういうことを本当は中学生の頃に教えてくれたらいいのに、実際には教えてくれません。教えてもらったのは「みんな一生懸命働いて社長を目指しましょう」という話だけ。でも実際の話、社長になっても大したことないんです。もちろん、社長を目指さなくてもいいという話もでもないし、お金だけじゃないのだけれど、私個人的には中学生の頃にもっと広い世界を知りたかったなあ、と思います。

表に載っている人たちは、100%馬主、オーナーです。オーナーにならないとこれだけの資産を築くことはできません。「オーナーというポジションがスゴい」

これが今日、皆さんにお伝えしたかったことの一つです。

パート2に続く。)