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「やぁ。今日は来ないもんだと思ってたから、もうベッドにもぐり込むところだ」 「いやいやそ…
顔を上げると、街路灯の白々とした明かりがぼんやりと、アスファルトの道を丸く照らしていた…
「やっぱりこの家が一番落ち着く」 と彼女はよく言っていた。この家には彼女の好きな椅子や…
どこまで続くか分からない、暗く淋しい夜道を私は歩いていた。 道、と言えるだろうか。私…
コンクリート製の階段を勢いよく上って行く。階段の踊り場に出ると、私は後ろをちらりと見た…
私の祖母の家は田舎にある。何車線もあるような道路が通っているわけでもなく、周りはただ山…
ある日曜の朝早くに南北に延びる家の前の道を歩いていると、何メートルか先に一羽の鶏が見えた。コッコッコッという鶏の鳴声が、わずかながら耳に届いた。 私の家は決して田舎にあるわけではない。家の前はバスも通る二車線道路で、交通量も決して少なくはない。そんな道を、どういうわけか鶏が歩いているのだ。 目に見えない誰かに首を上げたり下げたりしながら歩く礼儀正しい彼は、しっかり歩道を歩いているようだった。そんな鶏に興味を惹かれた人は何も私だけではあるまい。どうせ何もすることのない