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製本から考える本づくり|独立日記 本屋への道 025

2025.1.6(月)

製本のイベントを聞いて、本をつくりたい欲求が高まってきた。紙や製本にこだわった本をつくってみたいなぁ。文庫を上製本にして豪華版にしたり、ハードカバーを軽量化したり、紙質を工夫したり、製本の世界はとても奥深かった☟

今まで本をつくりたいと思うときは、内容出発で考え始めていた。それを本の「カタチ」から発想してみたら、新しい本がつくれるんじゃないだろうか。と、しばし妄想していたら、小商いのイベントで話題にあがった「物として造本にこだわった本」と「サクサク出せる簡易装」という、本の2極化現象のことを思い出した。

豪華な装丁だけが「こだわりの本」という訳じゃないのだ。フランス装やアンカットなどの簡易装も、敢えてラフな感じがかえって雰囲気のよい佇まいになっていたりする。そういう「ラフにこだわる」感じっていいな。

そうだ。製本イベントで「片手で持ち運べる軽い本が欲しい」という需要があったっけ。紙が重たければ、電子にすればいいのかというと、そうでもないし、文庫だと少し頼りない。

物質と電子のあいだぐらいの、ちょうどいい本ってないのかな。ペンギン・ブックスなど洋書のペーパーバックは、軽さといい、手触りといい、とても心地よい。

紙の風合いが手に馴染んで気持ちいいし、すっと小脇に抱えて散歩するときにも邪魔じゃない。カバンを持たずに本だけ持って、近所の公園に行きたくなる。珈琲を買って、天気がよければベンチで読みたい。気軽に持ち運べて、日常に寄り添う本っていいじゃない。

そんな読書シーンに合う内容ってどんなのだろう。移動しながら読んでもいいように、短い話がたくさん入ってるといいな。日記やエッセイ、ショートショート小説とかが合いそう。公園や電車など、屋外の風景の中で読まれることを想定すると、写真は無しで文章やイラストだけ。読者が包まれている風景を写真代わりにして、文字を辿って自由に想像できるような本がいい。

自分の見慣れた日常のなかに紛れ込んだ1冊のペーパーバック。それをパラパラとめくっていくうちに、少しだけドアが開いて奇妙でリアルな外の世界に繋がっていくような。読み終わってパタンと本を閉じると同時に、バタンとドアが開いて、外に出て行く気持ちになれるような。そんな読後感を味わえるようなテーマの本づくりがしてみたい。

詩はどうだろう。いや。詩だったらもっと高級な方がいいか。額装された絵みたいに、質の良い紙にしたい感じ。余白が多いから、紙だけを見る割合が多いっていうのもあるけど、詩は純度100%の芸術だから質が求められるのかもしれない。

ペーパーバックという形から考えたら、相応しいジャンルやコンセプトが自然と見えてきて驚いた。この方式いいなぁ。気に入ってしまった。今度、自宅でできる「コピー本」という形、リソグラフ・スタジオでつくる「リソグラフZINE」という形をテーマにひとり編集会議をしてみよう。

本の企画って楽しいから1日中でも考えていられるんだよねぇ。つくりたい本のことを考える時間を、しあわせと呼ぼう。

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