あの夏
きょうは梅雨明けだったという。
ついに、夏になる。
聴こえるヒグラシの声。
夏といえば、高校野球。
高校1年のとき、球場へ足しげく通い、汗だくになって母校を応援した。
奇跡が起こって、甲子園へ。
ほぼ全校生徒が、熊本から夜行バスに揺られて乗り込んだ。
ツタのはう緑色の外壁。テレビでしか見たことのなかったマウンド。球場全体を覆う得も言われぬ、熱気。
ここは、本当にあの夢の舞台なのだ。鳥肌が立った。
声の限り応援するも、試合は劣勢で展開し、最後のスリーアウトを迎えた。
涙が止まらなかった。
一生徒でしかないのに、本当に悔しかった。
ここで、勝ちたかった。
ここは、特別だった。
だからわたしはいまも、暑くてけだるい夏の日、高校野球の試合を観るとき、いちばん夏を感じる。
いまはエアコンの効いた部屋で、素麺をすすりながら、テレビ中継で観るばかりだけれど。
またあの夏へ、連れて行ってくれないか。
明日は熊本大会、決勝戦。
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