心の整理
僕には恋人がいる。それとは別に頭から離れない女性がいる。どのくらい離れないかというと、昨日会社に夜更かしのしすぎで遅刻しかけ、絶対今日は早く寝るぞと息巻いたにも関わらずこんな時間まで眠れないほど彼女のことが頭から離れない。一旦整理したいから自分が彼女をどう思っているのか、吐き出してみようと思い、初めてノートを書く。夏目漱石か誰かが言ってたよね。「小説書くのは自己療養だ」って。それ思い出したから、心が軽くなるなら、書いてみようと思って。
1.きっと彼女からしてみれば恋愛対象じゃない。
彼女との出会いはベタに、大学時代のバイト先。僕より3日ほど先に働いていた。ほとんど同時期に入っていたし、通っていた大学も同じ、学部も同じだったからなんとなく親近感は湧いた。第一印象はおしゃれな子だなというイメージ。それだけで、好きだとかそういうのはない。けど可愛い子だなとは思ってた。
そんな中、バイト中の雑談で「どんな人がタイプ?」という話題になった。彼女は「優しい人が好きです」と答える。バイト先で優しい人として通っていた僕はすぐさま名前を出された。すると彼女は「中川さんはないですね」と即答。少しばかりのショックとまあそうだよなという諦め。僕自身も「自分のこと好きになってくれる人がタイプ」ということもあり、その時点で恋愛に発展する可能性がゼロになってしまった。
そしてそのまま、僕はそのバイト先の他の女の子と付き合った。
2.自身の破局による、彼女の行動の変化。
時は流れて大学卒業まであと半年というところまでくる。就職が決まり,大阪から地元の名古屋に戻ることになってしまった。すると、ずっと付き合っていた恋人から別れを告げられた。初めてちゃんと好きになって付き合った彼女だったから相当ショックだった。別れというものを初めて経験したから自分の立ち居振る舞いがわからず、恋人関係のものを全て処分した。Instagramもブロックして相互フォローを外した。
そんな悲しみの中、いつも通りバイトしていると、件の彼女が出勤してきた。「中川さん、別れたんですか?」と雑談の中で突然聞かれた。若干狼狽したが、なんとか体裁を保ちながら肯定した。どうやらSNSの相互フォローが外れているところを見つけたらしい。その日自身がインスタでストーリーをあげると彼女からDMが届いた。
3.本当好きになりそうになるよね。
DMの内容は些細なもので、ストーリーに関することをちょこちょこっと話しただけだった。
そんなDMが終わると彼女の恋愛相談みたいなのが始まった。バイト中に話していたのでその続きをDMで話したかったのだろう。働き者な子だからいろんなバイトを掛け持ちしていて、別のバイト先できになる人がおり、その人とご飯に行くのだという。
僕が彼女と別れた途端にDMをよこすだなんて、もしかして僕のこと好きなのだろうかなんて思ったりもしたが、この恋愛相談ですぐに幻想はかき消された。
彼女はかなり、その男性のことが好きだったようだから僕を一男性の意見として相談したかっただけだろう。この発言の意図はなんですか!とか今日あの人とどこそこ行ったんですよ!とか主に惚気だった気もするが色々話してくれた。
そんなことで自分を頼ってくれるところにやっぱかわいいなあとか思ったりもした。だから話の合間合間に自分からもジャブを打ってみた。けどかわすかわす。ボクサーだったら世界とってるレベル。一つもまともに受けずに話は流れてしまった。もう僕はここで心が折れかけた。けどそんな時に彼女は僕にクリスマスの夜バイト終わりにご飯に誘ってくれた。僕の心はガチガチに勃ちなおった。あ、立ち直った。
4.まさかの友達同行
クリスマスの日、一緒にバイトしていると突然、「今日のご飯、友達も連れてきていいですか?」と言われる。中川、またも狼狽。しかしそこは別に全然期待とかしてなかったですよ感を醸し出すため、「あぁ!全然良いよ!俺も友達呼ぼうか??(友達0人)」と機転をきかせた返しで応酬することにより事なきを得た(HP0)。結局、彼女、彼女の友達、僕の3人で飲むことになって、何にもクリスマスな事はなく、1人寂しく帰ったのだ。ここで彼女と付き合えるのではないかと淡い期待を抱いていた僕はふんわり彼女を諦めた。もうきっとそんな対象で見られてないのだ。なんならちょっと好きそうな感じ出してきてる男おるからからかおうの精神なのだろう。そうして僕は他の場所で恋人を作った。
5.大学卒業後
しばらく彼女との連絡をとっていなかった。きっかけがなかったし、僕も新しい環境に慣れるのが大変だったのだ。
少し慣れた頃に就職してから初めてのストーリーを投稿した。すると久しぶりにDMが来た。会社どうですかなんて他愛もない内容だ。なのに心は踊ってしまう。もうほとんど忘れかけていたあの時の好きな気持ちもまた甦ってしまう。彼女はきっと、僕の理想だ。可愛いのにギャグを連発するとこ、気を遣えるとこ、話し方、笑い方、ファッションセンス、負けん気、テキパキとした行動、なのにたまにミスするところ。挙げ出すとキリがない。完璧に近いのに人間味がある。そう言ったところに惹かれるのだ。でも彼女は別に僕を好きじゃない。ならこんな気持ち捨てるべきだろう。けど、ほんの少し、可能性を持たせてくるから捨てられない。気持ちを伝えて、楽になりたい。けどそうすれば、理想としている彼女にはもう二度と会う事はできない。それならば、今の関係のまま、たまに連絡を取るこの関係を続けたい。
彼女はどうおもっているのだろうか。普通に気のいい先輩くらいにしか思ってないのだろうか。そらそうだ、どれだけかわされたと思ってるんだ。けど所々僕のこと好きそうな場面もあったよな。記憶はこわい。いいことしか覚えてない。クリスマスの夜を思い出せよ。あの日抜いた色はブルーだったじゃないか。