【1回読み切り連載】42 僕の親友は不法滞在 ~犬肉食のはなし~
渋谷の真ん中で、串田参議院議員らが犬食反対活動をしていた。
すごい違和感だ。みなさんもそう思うだろう。しかし彼らはいたってまじめ。そして日本で犬食があることを訴えているんだと。
この違和感は日本に犬食文化があるんだろうか?ないはずだという違和感だろう。しかし彼らは犬食をやめてという。面白いですねえ。
このズレは、日本の日本人は食べないが、日本にいる外国人の中で食べる人たちがいる。という意味なんだろう。
串田議員が国会で聞いたところによると犬肉を年間平均20t、30tくらい輸入しているらしい。日本では業者はないと思う。日本全国でそのくらい。ちなみに牛肉は年間60tから70tくらいを輸入、国産が30tから40t。
この文化で日本で有名なのは韓国朝鮮人。そして中国人。
これ、知らない人も多いかもしれないが、ベトナムは犬肉文化がある。
有名な韓国は欧米文化と日本文化が流入して若い世代ではペットとして家族として飼われて、犬肉に嫌悪をいだく人たちが多くなった。
しかしベトナムでは依然として普通に食べられる。犬がペットという考えもかなり希薄。
さて、僕が犬肉を初めて食べたのは豆腐工場でHと知り合って仲が良くなったくらいの頃。ベトナムでは犬肉を食べると雑談の中で聞いてびっくりしたのを思い出す。
あるとき、一緒に働いている中国人Yから中華料理を食べに行こうと誘われて、親友Hと池袋に食べに連れて行ってもらったことがあり、そのときはおいしい羊肉を食べさせてと言ってたので、羊肉を串にさし、たっぷりいろんな香草をふりかけたものだった。これがまさに羊頭狗肉ではなく本場の羊肉。
次に誘われた時、何を食べたいかと言ってきたので、「犬」は中華料理でないのか?といったところ、中国人のYは小声になってあるという。
そこで、また親友Hとともにある食堂につれて行ってもらった。
中華料理で美味しいのは池袋北口というのを結構聞いてきたが、そのとき行ったのは、上野。ある一角では「狗肉(いぬにく、くにく)」と書いてある看板が複数ある。はい、羊頭狗肉でなく狗頭(狗肉の看板)。
僕とHは鍋をごちそうになった。
とても美味しい。
しかし、まあHは今でもあれは「豚肉」だと言い張る。んんん。どうなんだろう。美味しかったからね。それに見た目が豚の「5枚肉」(皮付き豚バラ)すっくりだった(笑)
まあ、上野のある一角には食べさせているところがあるということだけは確かだ。
さて、ここからは、ベトナムの犬肉料理文化の話だ。
ベトナムでは北部を中心に食べられている。まあ、トリ、ブタ、ウシ、よりかは食べられていないし、家庭料理にはしないだろう。
ベトナムでは犬肉は滋養強壮、精力剤として食べられていて、甘味スイーツが女料理とすれば、男料理という感じだ。
北部の田舎道を走っていると「thit cho」という看板を見ることがある。これが犬肉だ。韓国ではそんな感じで見ることはたぶんない。
僕は、ハノイ郊外の町はずれのこじんまりした食堂で一度、そして幹線道路の道沿いにあるドライブイン(日本でいうドライブインにそっくりな感じ)で一度、計2回食べたことがある。
もう料理や食べ方は決まっていて、犬肉は茹でただけ。それをマムトムにディップしてレモングラスをかじりながらいっしょにいただく。
しいていえばやっぱりブタ肉に近いのかな(笑)。独特な臭みがあるので、レモングラスやその他の香草といっしょに、壮絶に臭いマムトムといっしょに食べるわけだ。
マムトムというのはアミを発酵させた黒紫色で気持ち悪く、そして悪臭を放つもので僕はまったく口に合わない。というより臭うので近寄りたくない。ベトナム料理はおいしくて好きだが、ベトナム家庭料理はマムトムをつけて食べることがあるのでそれだけは勘弁したい。


「エビ味噌」となんか美味しそうに軽く言って食べる人もいるが信じられないんですよね。
と、いうことで茹でてるだけの犬肉をマムトムをつけて食べるわけで、つけられない自分は犬を美味しく食べることはできない。
3回目はないでしょう。
さて、アメリカ人は日本人はクジラを食べる野蛮人だと思われているというのはご存知だろう。が、それ以上にアメリカ人にとって日本人は馬を食べる(しかも生で刺し身で)ということのほうが一大事だ。西部開拓時代から馬は相棒であり家族だったから。それを生で醤油で食べるのは残酷であり有色人種の野蛮人としてみる人が多い。これと同じこと。
食文化はよそからは信じられないことばかりだ。
そのように食文化は時としてどうしても受け入れられないこともあるかもしれない。しかし、まあ、そういう文化があるというのを知ってるだけでもいいと思う。