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シビれる理由がうまく言えないワケ


不格好なのに好きになるのはなぜ

アイスランド出身の歌手、Bjork(ビョーク)さんが好きであれこれライブ動画を探して楽しんでいます。
とくに1998年、BBCのとある番組での彼女の歌唱は、そのルックス(服装やお化粧)もふくめてとてもシビれます。


「シビれる」という言葉は私にとっては最高の賛辞です。
もともとは1958年に歌手・三橋美智也さんの美声と節まわしに酔いしれることを「シビれる」と表現し、流行語となったのがはじめなんだそうです。
三橋さんが発祥というのも、しぶくていい言葉です。

話はそれましたが、このシビれるビョークさんの動画なのですが、どこがいいかときかれるとうまくこたえられないのです。

丈の長いピンクの上着は、ビョークさんの女性らしい豊満な上半身のラインをしっかりひろっています。
すその短いステテコみたいな黒いパンツに裸足です。
なのに肩から下がった上着とおなじ布地のマントがヒラヒラしています。

髪型は急いでカーラーを巻いたような毛髪をヘアピンであちこちとめています。不器用なひとが自分でヘアセットしたみたいで「不格好」という部類に入ると思います。

しかもおでこから鼻筋にかけてのTゾーンは、まっ白にぬられています。

動画をそのままあげるのは問題かと思いスケッチをしたのですが、ご本人にはもうしわけない出来になりました。すみません。

(YouTube「Bjork  So Broken」 で検索してみてください。)

このビョークさんの姿になぜひかれるのでしょうか。自分でも説明ができません。
たまたま雷に打たれた、としか言いようがありません。

「シビれ」のメカニズムについてネットで調べていると、興味ぶかい記事を見つけました。


びびっとくるシグナル

「人が何故恋愛をするのか」を科学的な面からさぐるコラムで、脳科学・神経科学の専門家である静岡理工科大学の奥村哲先生のおはなしが掲載されたものです。


ビョークさんにシビれることと、恋に落ちることは似ているのかもしれません。

ここでは「びびっとくる」という言葉になっていましたが、生き物が持つより良い子孫を残そうとする本能にはたらきかけるシグナルがまず「びびっと」させるのだそうです。
例えば相手の体がガッシリと強そう、とか胸が大きい、とかですね。

「びびっとくる」→「好きなのだ」と認識する→相手が良く見える

つまり、好きな理由というのはあとからくるものだということなのですね。


びびっとさせるシグナルには生きていくうえで必要ではないものもあるそうです。
形がキレイとか歌が上手いとか、生きる上では関係がないことです。
けれど、他から逸脱している能力が生きるうえで必要な能力の余剰分だとかんじさせ「ひびっとくる」シグナルになるのだそうです。(これを「ハンディキャップ原理」というそうです。)


理由はあとづけ

調べてみてもこの時のビョークさんの衣装のデザイナーはわかりませんでした。
しかし、毎回ファンの度肝をぬいて夢のせかいにつれていってくれるビョークさんですから、スタイリング担当のチームがいるはずです。
全て計算された「ダサさ」と「イタさ」です。世の中でもてはやされている「格好良さ」や「美しさ」からはとびぬけているものでした。
このときの逸脱した様子が私にとっては本能をゆらすシグナルになったのでしょう。

これに彼女の火を吐くような歌唱も加わって、私はすっかりとりつかれてしまったのだとおもいます。
「不格好」がなぜ良かったのか、その理由は後付けにしかならないということです。


「彼氏に”わたしのどこを好きになったの?”ときいても全然答えられない」
なんておかんむりの女性がいますが(女の私が言うなら許していただけるでしょう)、あなたの何かが彼の本能をくすぐるシグナルになったのでしょうね。
スラスラと好きな理由をきかせられることよりすてきなことではないでしょうか。


そうそう奥村先生のお話によると、シグナルには「生きる上で役立つもの」「役立たないもの」のほかにもうひとつ、人間だけにしかないシグナルがあるそうです。
それは「嘘」だそうです。
「僕は君のことを大切にするんだ」という相手のついた嘘が「びびっと」くるシグナルになってしまうこともあるかもしれない。

また、文化を持つ人間には「お金」があります。
お金によってもたらされる安定が、ある種のシグナルになることもあるようです。

シビれたり、びびっときたあとには、お相手を客観的にみる努力は必要かもしれないですね。
その点、ビョークさんは今でも変わらず素晴らしい制作をなさっているから私も安心して応援しつづけていますよ。


今日も読んでくださってありがとうございます。
ナース刺繍は脳神経内科看護師刺繍家です。
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