看護師が書く 日本の医療危機 ⑥病床が減ったら、増える高齢者はどこに? 第6話
前回は以下の図が
「皆さん、出来れば病院以外で最期を迎えて下さい」
という図です、と説明しました。
そういうと聞こえは悪いですが、
別に「国にお金がないから 家で最期を迎えてくれ」
と、いったことを言いたいのではなく、
家で死ぬこと=在宅死は少子高齢化社会では一般的になりそうだ
という話を今日はしていきたいと思います。
以下のグラフは死を迎える場所=看取り場所の推移を示したデータです。
参照元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000156003.pdf
グラフのX軸の左、第二次世界大戦後の1950年頃までは
実に亡くなる方の80%が自宅で最期を迎えていました。
ちょっと今では信じられないですよね。
……というわけで、ここでひとまず、
自宅で最期を迎える=「在宅で死を迎える」
ということの歴史を知って頂きたいと思います。
上記グラフの戦後1950年よりさらに昔にさかのぼり、
1600年代=江戸時代の頃は、
基本的に看取りは自宅だったとされています。
そして先祖代々、看取り方法=いわゆるエンゼルケアが
家族内で伝授されていたのだそうです。
死者を風呂で洗う様子
死者の弔い方は家庭や地方によって様々だった
参照元:長崎文化博物館
http://www.nmhc.jp/keiga01/kawaharasite/target/kgdetail.php?id=1516&cfcid=141&search_div=kglist
その後、明治時代1906年に医師法で
医師の死亡確認→官庁へ報告が義務
という死の管理制度が始まりました。
しかしそれでも、上のグラフように
戦後=1950年になっても80%は
看取りの知識や技術などが継承され、
自宅で最期を迎えていたとされています。
ところが、1950年以降は死亡する場所は、年々、
病院で最期を迎えることが多くなって、
2006年には在宅で死ぬ人は12.2%にまで減りました。
江戸時代から400年も続いていた
「在宅で死を迎える」という文化が
このわずか50年の間で
なぜ、これほどまで減ったのか?
次回はその原因について話していきたいと思います。
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