見出し画像

看護師が書く 日本の医療危機④ 少子高齢化で出費を減らす国の施策 ~病床数の削減~②

前回は
諸外国に比べて日本は入院ベッド数が異常に多く、
ベッド1台あたりの医療スタッフのチカラが薄い。
そしてさらに少子高齢化で人口は減るし、働く人も減るので、
ベッドの数を減らそう!という動きが起こっている
という話をしました。

改めて、諸外国と比べた入院ベッドの多さを見てください。

画像1参照元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/backdata/01-03-02-05.html

ここで生まれる疑問は、
「なぜこんなに入院ベッドが多くなってしまったのか?」
ですよね。

下図は日本の病床=入院ベッド数の推移です。

画像2参照元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/01/kekka1.html

御覧の通り1990年くらいまで、病床数は右肩上がりで増えています。

グラフ左端の昭和50年=1978年頃は、モノを作れば売れる時代。
病院も作れば儲かるとされ、ボコボコと病院が出来ていきました。
でも当時はそれで良かったのです。
時代は高度経済成長期と言われ、
近くに病院が出来て、どんどん便利になれば良いという時代でした。

でも、この「病院を作れば儲かる」という時代と、
その時代に合わせて制限なく病院が作られたこと、
これは結果として、
令和の時代に病床が過剰となってしまった大きな原因となりました。

もう少し歴史の話をしますと、
先程のグラフの通り、1970年代はボコボコ病院が出来ていましたが、
その後、1980年代に入ると、モノがあふれてきました。
人々はモノなら「何でも良い」ではなく、
「良いものを選ぶ」
ようになりました。
「高級品」や「高品質」な商品が出始めます。
聖路加国際病院のような「全室が個室」の病院が出来たのもこの頃です。

そして、1986年。ここで、
これまで延々と増え続けてきた
病床増加を止めようとする動きが起こりました。
国は医療法改正で、地域ごとに「入院病床は〇床まで」
という制限を設けた
のです。
その後1992年まで、駆け込み需要を含めて増えていきましたが、
その年をピークに減り始めました。

ただ、減り方は緩やかです。
なぜなら1986年からベッドを「増やさない」というルールなだけで、
実際にこれまで「減らす」措置をしてきたわけではないからです。

「減らす」というのは難しいですよね。
なぜなら、
そこに、住む人達にとって信頼ある大切な病院であれば、
そこに、働く医師も看護師もたくさんいれば、
病院を閉院する、というのは簡単ではないことです。

そこで国はベッドを減らすにあたって、
「不必要なベッドを減らしていきたいと思っています。
皆さん、そのベッド、本当に必要とされていますか?」

という状況調査をはじめました。

そのあたりを次回以降に話していきたいと思います。

ナースセカンドキャリアラボでは
看護師+中小企業診断士の視点で
医療の現状についても学びを深めます。

御興味ある方はこちら
ナースセカンドキャリアラボ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?