看護師が書く 日本の医療危機 ④少子高齢化で出費を減らす国の施策 ~病床数の削減~⑤
前回まで
コロナで重症化した人を受け入れられない!
…と医療がひっ迫した状況でしたが、
国は少子高齢化に合わせて、
もともと重症の人の治療=「急性期治療」
を実施する入院ベッドは、減らしていきましょう!
と、いう方向性だったという話をしてきました。
その実際の計画が以下の資料です。
平成25年=2013年に出された計画です。
まずはザックリ見て、
ワイングラスの形がヤクルト容器に変化していることを
確認してみてください。
そして、このワイングラスの横に
「7:1」とか「10:1」といった
比率が書かれていますが、
これは看護師の配置量です。
ザックリ言うと、
「7:1」は患者様7人に対して
1人の看護師が配置される病棟
「10:1」は患者様10人に対して
1人の看護師が配置される病棟
という意味です。
当然、「10:1」より「7:1」のほうが、
マンパワーがあり、重症な患者様にも対応できる能力を持ちます。
そして、当然に
「10:1」より「7:1」のほうに、
国も診療報酬を出してきました。
下図の通り、「10」と「7」では1日あたり2,590円の差があります。
500床=入院するベッドがあったら、
1日で、この差は2,590円×500床=129.5万円
となり、1年365日では約4億7270万の差になります。
この差を使えば、看護師をたくさん雇えるぞ!
と、民間病院は一斉に看護師確保に乗り出しました。
しかし、その結果、日本の病床量のバランスの形が
ワイングラスの形になってしまったという訳です。
この「7:1」制度を出したのが、2006年。
このルールを作る前の当時は
特に看護師の配置量で診療報酬が変わることもなく、
看護師の配置量というのも曖昧でした。
国としても
「もっとキチンと看護師を置いて、看護師を働きやすくしよう」
という想いもありました。
良かれと思ったものの、思いのほか増えてしまったので
仕方なく、国はこの形を↓ヤクルトのように補正して
バランスを取っていこうと考えました。
次回はその理由を話していきたいと思います。
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