◢ 1 ◤AVICII - Fades Away 【歌詞和訳】
(1) はじめに
2018年に若干28歳という若さでこの世を去った、スウェーデン出身のDJ、音楽プロデューサー
「Avicii(アヴィーチー)」
彼が残した音楽は、今でも世界中のファンに、
「今を生きる」というメッセージを伝え、共感を与え続けます。
僕もその一人です。
楽曲はもちろんのこと、歌詞の世界を知るにつれ、彼が音楽を通して何を表現したかったのか?その想いが伝わってきました。
彼の楽曲に共通しているテーマは
「人生と真剣に向き合う中で感じた葛藤」ではないでしょうか?
わたしたちの心は、常に変化と共にあります。
時に喜びを、時に怒りを、時に哀しみを、そして愛を。
その誰もが心の内側に抱える感情に、自分自身を重ねているように思います。
悩み、踠き、突き進む中で創作した楽曲の数々。
その素直さが心に共感を届けます。
『生きるとは何か?』
このような思いを抱える方には、きっと、Aviciiの世界が、あなたの人生に勇気を与えてくれるはずです。
ここで紹介する和訳は、僕の個人的な見解が含まれています。
相違があっても、ご了承ください。
しかし、それぞれの解釈ができるのも、Aviciiの魅力のひとつです。
(2) 曲紹介
今回ご紹介するのは
Fades Away (ft. Noonie Bao)
この曲のテーマは
『わかりあった二人(男女)であっても、時間の経過とともに、それは消え失せてしまう。その人生の儚さ』
と解釈しました。女性側の立場になって歌詞が書かれているようです。
以下、歌詞です。(和訳 by nuri_T_Y)
Fades Away (ft. Noonie Bao)
All of the troubled times that we have overcome
どんなに辛いことも二人で乗り越えてきた。
All of the trials to find somewhere that we belong
二人だけの居場所を見つけるために。
All I know is that, with you, I'm holding on
そして、わかったの。私には、あなたしかいないって。
'Cause all of the days out, all of the days out on the run
二人の全てを消し去るように日々が過ぎていく。
Don't you love it? How it all just fades away
これでいいの?こんなふうに全てがなくなっても?
When your clothes don't feel the songs of yesterday
あなたの服を手にとった時、昨日、愛しあった面影は感じられなかった。
And I can't go back, and I can't go back
もう過去には戻れない、絶対に戻れないってわかってる。
Don't you love it? How it all, it all just fades away
でも、本当にいいの?全てが消え失せてしまうのに。
All of the tracks we traced, we raced to reach the sun
二人で過ごしてきた軌跡をたどっていく。太陽に向かって
All of the lights to find a place where we belong
二人だけの居場所へ、光が導いてくれる
All I know is that, with you, I'm moving on
そして、気づいたの。わたしは、あなたと何があっても一緒にいたい。
'Cause all of the days out, all of the days out on the run
And I can't go back, and I can't go back
もう過去には戻れないのに、日々、時間だけが過ぎ去っていく。
Don't you love it? How it all, it all just fades away
本当にいいの?『わたしたち』が消えてしまっても。
(3) 解釈 - interpretation
この歌詞で、とても心に届いたのは
" to find somewhere that we belong "
というフレーズです。
中でもbelongは「適切な場所にいる」、「馴染む」、「大切にされる」
といった意味があります。
これにweを主語にしただけで
we belong「一緒にいる」という意味になり、
そこにsomewhereがつくことで「二人だけの世界」、「二人の居場所」と解釈できます。
このシンプルながらも強い意思が伝わるフレーズが美しいです。
また
" When your clothes don't feel the songs of yesterday "
という表現は上品でオシャレだと思います。
When your clothesだけだと「服がどうした?」という感じですが、
そこにthe songs of yesterdayと続けることで上品な愛を表現します。
特に「make love」を「the songs」に置き換えて、直接的な表現を避けるところがミュージシャンの芸術性だと思います。
ミュージシャンにとって作曲をすることはmake loveに等しい価値があるのでしょう。
" All I know is that, with you, I'm moving on "
には、切実な願望を感じます。
I'm moving onには「先へ進もうとしている」という意味合いがあります。
だから、ただ「行動する」よりも強調した言い方です。
また、このmoving onには「with you」「without you」
のどちらかが、セットになって使われることが多いです。
なので、特定の相手と「一緒に」、または、「いなくても」という決意を表現する時に使われる定番コンビかもしれません。
宇多田ヒカル - Movin'on without you
この曲も、ネイティブ英語を話せる人は肌感覚で、こういう言葉のニュアンスを知っているのだと思います。羨ましいですね。
いかがでしたか?
Fades away「消えていく」
Aviciiならではの言葉のリズム感が詰め込まれた作品だと感じます。
曲中、Fades awayと繰り返す部分にストリングスが入る演出は「切なさ、儚さ」を際立たせています。
そして、最後も同じ言葉で、本当にFades awayするかのように物悲しさを残して終わります。
このあたりが、表現者として素晴らしいと思います。
(4) トリビュートコンサートについて
今回紹介したFades Away は
トリビュートコンサートver.も感動的です。ぜひご覧ください。
このコンサートは数あるトリビュートコンサートの中でも、個人的にはベスト3に入ります。
100回くらい観ていますが、本当に素晴らしいコンサートです。
最後のA Sky Full Of Starsのときに、サビでギターの音をハズしてしまうのが悲しいです。仕方ないです、こんなに長時間演奏してたら。。。
出演者の各パフォーマンスやアレンジも原曲とは違う表現がされています。
Aviciiの楽曲はジャンルを越えた発想や作曲方法で音楽を奏でました。
そのジャンルは、ロック、ブルース、クラシック、タンゴ、ゴスペルなど、ジャンルに垣根がありません。
それら全てがAviciiの楽曲に生まれ変わります。
コンサートの様子からは、彼が残した音楽が今も生きていると証明しています。
自分に正直に、真剣に人生と向き合いながら創り上げた作品は、時代も国境も越えて、多くの人の心に届くということです。
だから、葛藤を抱え、生きることは決して無駄にはならない。
Aviciiは、その一音一音に魂を込めて、
それぞれの心に『共鳴するブルーノート』を届けます。
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