sample 文章 1 (小説) 「トトロの呪い」
トトロの呪い
朝起きると、枕元にトトロがいた
ジブリ映画に出てくるあのトトロだ
お互い見つめあっていたが、しばらくしてトトロは大きなあくびをした
そしてベッドに入ってきた
おかげでわたしはベッドの隅に押しのけられる格好になった
トトロが現れるようになったのは、この2週間ほどのことである
わたしが、宮崎駿の悪口を言った翌日だった
「あいつの映画に出てくる女の子はみんな性格おんなじなんだよな
単純できれいで薄っぺらい」
それ以来、トトロはわたしの生活の邪魔をした
パスタを茹でていると、ちょうど麺がアルデンテになる頃に現れ
コンロの前に立ち塞がり麺が伸びるまで動かない
ガールフレンドからの電話を勝手にとり、カバのような声を出す
トイレを汚す。長風呂につかり、シャワーを浴びてからだを拭かずに
出てくる
全てがこんな感じなのである
でもジブリ作品のキャラクターで、一番無害そうなトトロが現れたのは
幸運かもしれない
ジブリ映画には、ラピュタの巨神兵など危険なキャラクターがたくさんでてくるのだから
そのためわたしは引越しを考えていない
そのうち、ネコバスで会社まで送ってくれる日が来るかもしれないし
可愛い女の子がトトロを見に来たいと言ってくれるかもしれない
(おわり)
文章のご依頼は、下記リンクへお越しください
(小説以外でも、なんでも書きます)
https://nureka-shigure.amebaownd.com