見出し画像

『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ

🍎あらすじ🍎
化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人人への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方、匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。─BOOKデータベースより



🍎感想🍎
かなり凝った作品でした。
現代におけるTwitterの様なSNS、マンマローに、事件を煽る週刊誌の記事、中立な立場で報じる新聞、リアリティが半端ない。
それにしても、人って怖い。
もし、私という人間を生い立ちから遡って聞き込みしたり、私の周囲の人たちにそれぞれきいたら、きっとバラバラで、そこに真実なんて果たしてあるのだろうかと思ってしまいました。
それほど人間は自分に都合よく解釈して事実をねじ曲げていく生き物なんだな、と痛感しました。もちろんそれは私も含めてで、もし同級生のことをある日突然誰かにきかれたら、きっと正確に答えられない。そこをついてできた作品が『白ゆき姫殺人事件』なのかな?と思ったりします。
多角的な既視感、リアルな世界観──
周囲の人には普段から優しく、誠実であろうと思わされた作品でした。
でも、きっとそんな私の心意気でさえも、相手からすればありがた迷惑であり、その瞬間から各々の真実が生まれるのだから、皮肉なものですよね。

『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?