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5月31日

今日はパーティーをしようと彼が言った。


5月31日朝、窓を開けたら外は雨が降っている。
家の中にいても聞こえてくる雨音に、なんとも言えないため息を吐いた。


今日5月31日は私たちの結婚式のはずだった。  

3月下旬に招待状を送ったころは5月末だし大丈夫、きっと終息している、できるだろうとタカを括っていたのだが、日に日に感染者増加のニュースを聞くたびに不安になり、4月の頭に結婚式場に延期の申し入れをした。その後すぐに住んでいる所に緊急事態宣言が出された。


参加してくれる方の中には早々と返信ハガキをくれた人もいたので申し訳ない気持ちと、お互いの両親の意見なども聞きながらの苦渋の決断だった。

延期を決めた後は、もやもやしていた気持ちは無くなり一旦リセットし、スッキリするものだと思っていたのだが、また延期した日にきちんと開催できるかどうかも不安だし、まだまだ準備も残っているし、すごく気持ちが軽くなる、ということはなかった。

一体コロナの影響でどれだけのイベント、結婚式、コンサートなどが中止、延期になったのだろう。わたしたちと同じように、いや、わたしたち以上に悲しみに暮れている人は、もっと大勢いるだろう。


延期しようかどうか迷っている時に、同じことで悩んでいる人のネットニュース、そのコメント欄を見た。コメント欄には強い否定的な言葉も多く並んでいた。
もちろん新郎新婦さんもやらない方が良いなんて事は分かっているだろう。でも親族関係、金銭的なことで延期が出来ないケースもあると聞く。
そしてもちろんコメント欄の人が言っていることも正論でしかない。

誰が正解かなんて分からない。結婚や家族の形なんて人それぞれ。

わたしもどう気持ちを切り替えれば良いか分からない。

そんな時、旦那さんが言った。

今日は、パーティーをしようと。
結婚式をするはずだった日を自分たちで特別な日にしよう、と。ケーキを買って、高いステーキ肉を買って(松阪牛…大奮発。)ふたりで食べた。ワインを開けて、たわいもない話で笑い合う。

なんでもないはずの日が、特別な1日になった。

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