異常な愛に、自分でも引いとります
どうしてこんなにも、わたしの心を揺り動かすのか。
目から、鼻から、耳から、此処でしか感じない匂い、空気を吸い込んだ。
四条寺町の林万昌堂の焼き栗の匂い、鴨川を歩いているときに南から吹いてくる心地よい風。高い建物がないので綺麗に広がる青い空。
緊急事態宣言解除後、まだ油断は禁物ななかではあるが、どうしても外せない用事があり、京都に赴いた。前日は、遠足の前の日のようにワクワクしてなかなか寝付けなかった。
当日、用事を済ませた後、ふらりと散歩を始める。このまま帰るのはどうしても惜しい。
一歩一歩踏み締めて歩いた。
まだポツポツとシャッターを下ろしたお店が目立つ。お昼間の先斗町はすいていて、人に阻まれることなくずんずん進む。店先の提灯にぶら下がった風鈴がチリン、チリンと鳴っていた。
先斗町を抜け、三条大橋までは行かず、手前の階段から鴨川の川べりに下りた。
三条側から四条大橋の方へ戻る。川床が出ていた。レストランだろうか、コック姿の方が一生懸命準備をしているのを見つける。今年こそは行きたいなあと思う。
四条烏丸から五条通、烏丸通りをずっと南へ。
普段歩いている時は音楽を聴いているのだが、京都では何故かその行為が失礼な気がして、イヤホンを外して歩く。自然と考え事が増えていく。
みんな、独りで歩いている時はなにを考えているのだろう。
わたしは、ここに戻ってこられた興奮が大きい。
京都駅の手前の京都タワーの姿が大きくなる。
ターミナル駅の前にこんなに緑が多い都市が果たしてあるのだろうか、いやない。(嘘、あるかもしれないが知らないだけ)
ターミナル駅の前に寺がある都市が果たしてあるだろうか、いやない。(これはないと思う)
途中から、かかとに違和感を感じていたのだが、どうやら靴擦れをした。
京都を歩いている時は不思議と大丈夫だったのに、家に辿り着いてから思い出したように痛み始める足。
労うようにこの日記を書いている。