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きっと2人の最後の想い出作り。
2人の共通点から
Anime Japanに一緒に行くことにした。
デートなのか、
オタク仲間協力の日なのか、
日本文化を体験する外国人と通訳なのか、
我々の今日の関係性は誰にもわからなかった。
半袖で歩けるほど、暑い日だった。
この日差しが自分の体温をあげているんだと
それ以外に要素はなにもないんだと
言い聞かせていた。
君は珍しく優しかった。
「写真撮ってあげるから、そこ立って」
「うん、いい感じ」
「ここ好きなコンテンツのブースじゃないの?」
「疲れてない?休む?水飲む?」
いつもは私の方が早く待ち合わせ場所にいるのに、
今日はわたしが「お待たせ~」と言う立場だった。
なにが君を変えたのか、全く思い浮かばなかった。
「そういえばなんだけど、オランダ留学の面接、受かったよ」
「当たり前でしょ~でもおめでとう」
「ありがとう、時間が過ぎるのは早いね」
「そうだね~」
「日本でやり残したことない?」
「島に行ってみたい」
「ふ~ん、江ノ島がいいんじゃない?有名」
「そうなんだ」
「行けるといいね」
「うん」
うどんをすする音と人々が動いていく音。
全てが未来へと動き出していく。
君は江ノ島に誰と行くのだろう。
前を見ながら歩くわたし。
左側にいるわたしを見ながら歩く君。
平行だった2本の線が、意図せず交わっていく。
あと4か月。
我々はどんな図形を描くのだろうか。
君は今でも、あの日買ったゴジラのTシャツを着ているのだろうか。