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じぶんだけのまくら

忘れたくないことを
忘れてしまいそうで
わたしの代わりに覚えていてくれませんか。


ねぇ、ぱぱ?きっと覚えてないだろうけど。

随分と前に
毎朝届くチラシを珍しく読んだ日があったの。

「自分だけの枕を作りませんか」

自分だけのまくら。いいね。美しい響き。

いくらかな。高いな。困ったなぁ。

お金のことを言わずに、ぱぱにお店へ連れていってもらった。

「じぶんまくらを作りたいです。」

自分で店員さんに伝えた。

「こんなに幼い子供がなぜ?」
という目で見つめられたの
ぱぱ知らなかったでしょ。

9才ですが、冷え性があって、腰が痛くて、夜も眠れないのです。

測定と製品説明が終わってぱぱはすぐ言ったね。

「これおいくらですっけ。あぁ・・・。前払いですっけ。」

文字通り、険しい顔で。


ここまでやったのに、買ってもらえないかもしれない。

「ぱぱ・・・、その・・・」

「買うんだろ?今日はお金持ってないから、今度受け取りにこよう」

「うん。ありがとう。」

「来週土曜日に受け取りにきますんで。お願いします。」


6月7日。ままと受け取りに行った。

自分だけの枕。
お下がりだらけの部屋に宝物が1つ増えた。

もうすぐ父の日だって言うのに、
大きな買い物をする娘の背中を押してくれたね。
ぱぱだいすき〜!って心から思っていたよ。

今年の父の日はちゃんとお返しするからね。



使い続けて、15年経ちましたよ、お父さん。








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