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【伝検】波佐見焼と、大人の恋

ひっっさしぶりに、恋愛漫画を読みました。フフ。
唐突な書き出しで恐縮ですが、伝検記事を書いていきたいと思います。
今回は陶磁器のジャンルより、波佐見焼がテーマです。

波佐見焼ってよく見かけませんか?

私は、伝検のジャンルでいうと伝統文化の方が得意です。
伝統工芸の方は知らなかったことが多く、「陶磁器」は苦戦ジャンルです。
そんな私でも聞いたことがあった「波佐見焼(はさみやき)」

しかし、伝検テキストには、波佐見焼の詳しい説明はありません。
ただし、主な産地の地図に名前は載っていますし、公式参考サイトにも説明はありますので、知っておいた方がお得ですよね。
実際に、私は「なんで波佐見焼の詳細ないの?」と思い、公式参考サイトをチェックしてあったおかげで、検定本番ではラッキーな目に遭えました。

波佐見焼の基本情報

公式参考サイトより、検定の勉強として大事そうな情報だけまとめます。
ずばり!ポイントは「見た目」と「名称」です。

  • 長崎県東彼杵郡波佐見町で作られている陶磁器。

  • 白磁と藍のコントラストが美しい染付・青磁作品が主流。

  • 江戸時代後期には、生産量日本一になるほどの磁器の生産量を誇った。

  • 時代に合わせて改良し続け、伝統的からモダンまで幅広い製品がある。

  • 手頃な価格で庶民に愛された。さまざま名称がある。

名称①「くらわんか椀」

大阪の船着場で船上の人々に酒や食事を売る食器として使われた。
「餅くらわんか、酒くらわんか」という掛け声とともに売られたことから、この名前がついた。

名称②「コンプラ瓶」

主にヨーロッパへの輸出用として使われ、幕末頃には、長崎・出島から酒や醤油を詰めて輸出した。
コンプラの語源は「仲介人」を意味するポルトガル語で、金富良商社がコンプラ瓶を使った。

名称③「ワレニッカ食器」

1987年(昭和62年)に割れにくい給食用の食器として開発された。
給食の普及に伴い県外の学校や病院へも出荷され、全国で使われるように。
(由来は「割れにくか〜」ってことで、きっと合ってますよね?)

どの内容を見ても、「丈夫さ」が必要な場面で使われたのがわかりますよね。以下に、公式参考サイト「KOGEI JAPAN」と「青山スクエア」のページを
リンクしておきます。

大人の恋で学ぶ波佐見焼

なんと、波佐見焼を知るのにピッタリの漫画があるんですね。ありがてぇ。
小玉ユキ『青の花 器の森』です。

全10巻の完結済。私は2時間ちょっとで全部読めました。
作者さんは、長崎を舞台にした『坂道のアポロン』の作者さんです。
公式サイトより、あらすじを引用します。

小玉ユキが贈る大人のための恋物語
陶磁器と坂の町、波佐見(はさみ)———
「器(うつわ)」を愛する男女が、この町で出会い…!?

https://flowers.shogakukan.co.jp/work/304/

波佐見焼の絵付をする「青子(あおこ)」と、北欧での作陶を経て波佐見にやってきた訳ありげな男「龍生(たつき)」。
彼らが、器作りに向き合ったり、お互いの関係に向き合ったりする話です。

分業制と波佐見焼

この作品を読んで一番印象に残ったことは、分業体制で作り上げることの
尊さでした。

青子の働く窯も、絵付や成形などそれぞれに担当がいるのが読み取れます。
また、窯元以外にも、量産する時に必要な型を作る「型屋」や、その型から生地を作る「生地屋」、絵柄のスタンプを作る職人さんも出てきます。
それから、器を売る「商社」も大事な存在として描かれていますね。

私は、「量産」とか「分業制」って合理性の追求なのかなと思っていました。
質より量。商売としてたくさん作ってたくさん売った方がいい、みたいな。

でも、そうじゃなかったんだなと。
器作りの工程に関わるすべての職人さんがよい器作りを追求するからこそ、高品質なものが消費者の手元に届くんですね。

「手頃な価格で庶民が使った」「割れにくい器」
波佐見焼の特徴を支えてきたのが、まさにこの分業体制だったわけです。

龍生くんも最初は分業と量産に反対していましたが、素晴らしい職人さんの存在を知り、多くの人と力を合わせて器を作ることに挑戦していきます。

波佐見に来た当初は自分の殻に閉じこもっていた龍生くん。
物語終盤で語ったセリフが素敵でした。

「俺は 波佐見で 人と関わりながら器を作るのが
思ってたよりずっと好きだったんだって 気がついたんです」

伝統工芸は、たくさんの人が力を合わせた「産業」だから成り立つのです。
名もないたくさんの職人さんの手に支えられ、人々の手元に届く器。
器作りに関わるすべての人に敬意を抱きたくなる、そんな物語でした。

蛇足ながら、胸キュンポイントいいですか?

「いい絵付師になりたいのであって、自分の作品としての器を作りたいわけではない、無名でいい」と主張する青子に対して、
「あなたのオリジナルの絵柄の器がほしい人はどうしたらいいんですか」と怒る龍生くんに、胸キュンしました。
「僕はあなたの絵付が好きです。」って告白なんですよね。ふひひ。
職人としての青子の姿勢も、仕事人!って感じでかっこいいです。

波佐見焼の勉強もできて、大人の恋も楽しめちゃう『青の花 器の森』。
おすすめです。

勉強のポイント

波佐見焼は、詳細がテキストに載っているわけではないので、2級以上の受験者向けかもしれません。
・波佐見焼の特徴を知る(白磁に呉須の藍色)
・波佐見焼の歴史を知る、特に名称がポイント。

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