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ヒグマを食べる

ジビエに造詣の深い知人から、ヒグマの肉をいただきました。
憧れのヒグマのステーキ、そして熊鍋をつくってみます。


私が住む地域では、熊料理というものはほぼ目にすることがありません。
熊鍋ならあるいは……でも、ヒグマのステーキとなると、そうそう出会えるものではないはずです。

東京・西麻布のフランス料理店「コントワール ミサゴ」で出しておられることは知っていますが、あいにく伺う機会には恵まれておりません。
北海道西興部村ヒグマのステーキ、12,100円とのことです。さぞ美味なことでしょう。

以前に一度、東京のジビエのお店でヒグマのグリルを食したことはあるのですが、そのときは何故かあまり印象に残りませんでした。


さて、熊料理で注意すべきは、硬さと臭いの対策です。
火を通すと肉が硬く締まり、柔らかくしようと砂糖を使うともっと硬くなると言われています(本当でしょうか)。また、しっかり処理しないと獣臭さが強烈だそうで、下ごしらえが鍵になりそうです。
もっとも、ステーキ肉は茹でるわけにもいかないので、そちらは運を天に任せ、熊鍋の方だけ準備していきます。

ヒグマの外もも肉


熊鍋に使う肉は、適当なサイズに切って、料理酒、生姜、ネギとともに水から茹でていきます。ぐらぐら沸騰させないように、なるべく弱火で。
ひとしきり灰汁が出たところで茹でこぼし、肉の表面をぬるま湯で洗います。灰汁の出方や肉が締まる感じは、牛すじ肉のイメージです。

血抜きが甘い肉であればこの工程を複数回繰り返すそうですが、今回は良いお肉でしたので、下茹でに移ります。この茹で汁はそのまま鍋の出汁にしますので、うっかり捨てないように気を付けます。
時間をかければ確実に柔らかくなりますが、その分滋味も抜けるので、自分の好みとの相談でしょう。

また、下茹でせずに薄切りにし、しゃぶしゃぶ風に楽しむ方法もあります。こちらはジビエの風味が豊かですが、好みは分かれると思います。薄切りにするなら、半解凍の状態で切るのがおすすめです。

並行して鍋野菜の用意です。ネギはある方が良いと思います。白ネギと青ネギ両方を用意しました。あとは、白菜、きのこ、大根、里芋など適当に。

味付けは味噌がオーソドックスなようですが、臭いの少ない肉でしたので、今回は醤油で仕上げました。といっても、だしの素と料理酒、薄口醤油を入れただけ。熊肉から良いスープが出ています。


ステーキについては、さほどやることはありません。
塩胡椒を振ってしばらく置いて、フライパンで弱火で焼いていきます。牛肉と同じ感覚で焼けばOK。肉に火が通り、かつピンク色がベストです。たぶん、焼きすぎると美味しくない。

ヒグマのステーキ ルッコラのサラダを添えて

噛み締めれば、ヒグマと言われて納得の力強い味で、生命をいただいている実感があります。ちなみに、念のための保険で牛ステーキも焼いておいたのですが、こちらは洗練された文明の味でした。品種改良の偉大さを知ります。



最後に、これまでに食べたジビエ系の肉について、個人的な好みをご紹介します。ただ、季節、個体差、血抜きなどの処理によって大きく左右されるものと思います。

AAランク  真鴨
Aランク  猪、ヒグマ、アナグマ
Bランク  鹿、キジ、ダチョウ、カンガルー
Cランク  ハクビシン、カラス、ワニ
採点不能  タヌキ

真鴨は絶品です。毎年、鴨鍋のためにお取り寄せをしています。
アナグマはかなり美味しいですし、カンガルーは赤身好きな人におすすめです。
Cランクも、やや独特なだけで、普通に食べられます。

そのなかで、タヌキだけは……如何ともしがたいです。以前にnoteに書いていますので、ご興味があれば。

こうして見ると変わったものばかり食べているようですが、美味しいものを探しているだけです。決して下手物食いではありませんので、何卒よろしくお願いいたします。

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