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MDM、MAM、MCM、EMM、UEM、混沌としている法人スマホ、タブレットの管理

会社でスマートフォンやタブレットを導入して従業員に貸与する企業が増えていますね。その時に欠かせないのが管理ツール。一般的に「MDM(エム・ディー・エム)」と呼ばれていると思います。でも時々、「MAM」って呼んだり、「EMM」と呼んだりする人もいます。そこで私なりにスマホやタブレットの管理ツールについてまとめてみようと思います。

用語整理

まずは用語の整理です。

- MDM(Mobile Device Management/エム・ディー・エム)
- MAM(Mobile Application Management/エム・エー・エム)
- MCM(Mobile Contents Management/エム・シー・エム)
- EMM(Enterprise Mobility(Mobile) Management/イー・エム・エム)
- UEM(Unified Endpoint Management/ユー・イー・エム)

スマホやタブレットを管理するツールは単語の頭文字を取って3文字で呼ばれています。MDM、MAM、MCM、EMMをざっくり表現します。

それぞれの特徴について以下にまとめます。

- MDM…デバイス全体を管理下に置くツール
 - 万が一の紛失時、遠隔で画面をロックしたり、工場出荷状態(初期化)にできる
 - パスワード設定の強制化などセキュリティポリシーを設定する
- MAM…デバイス上で利用されるアプリを管理するツール。業務に必要なアプリのみ利用させるなどデバイスの私的不正利用を防ぐ目的で導入
- MCM…デバイス上で利用される業務用コンテンツを管理するツール
- EMM…MDM・MAM・MCMを統合したツール

ちなみにUEMは米国のEMMベンダーが昨今提唱している概念です。

こんなにも多くの用語がありますが、日本国内に目を向けると、少し詳しい人がEMMという単語を使うくらいで、デバイス管理ツール=MDMと呼ばれることが圧倒的です。

しかし担当者Aさんの「MDM」と担当者Bさんの「MDM」で求めているデバイス管理の要求が異なる場合があります。それは「MDM」とは言いつつも、その中にはMAMの概念が含まれていたりするなどその定義は様々だからです。またこれらの用語の定義も曖昧、しっかり定まっているわけではありません。製品を提供するベンダーや人によって謳い方・捉え方が異なるので、より複雑さを増しています。

MDM・MAM・MCMの特徴

MDM・MAM・MCMで代表的な製品と特徴を記載します。

【代表的なMDM】
ITReviewというソフトウェアの評価サイトに代表的な製品が掲載されています。

ここではMDMとEMMが同列に表現されています。EMMは先述の通りMDM・MAM・MCMの統合、「EMM」にも基本原則となる「Device」管理の要素が含まれているため、同列に扱われています。MDMはMAM・MCMと比較して製品が多く、また導入企業が多い市場です。

【代表的なMAM】
国産ベンダーでは「moconavi」という製品が有名です。

moconavi専用のアプリから電話やメールなど業務用アプリを利用する、そしてそれらの業務用アプリを管理するという製品です。イメージはWindowsの仮想デスクトップ、DaaSに近いです。このような特徴から、普段従業員が私物で利用しているスマホに専用アプリをインストールして業務で利用する「BYOD」用途で導入されることの多い製品です。

但し最近では「MDM」から配信したアプリを管理(コントロール)する製品・機能もMAMと呼び、その定義が広がっています。このような背景から、MAM=アプリケーション管理と言っても範囲がとても広く、人によって「MDM」や「MAM」の定義が異なる、複雑化している要因になっています。

【代表的なMCM】
MCMは業務に関するコンテンツ(パンフレットや提案資料、販促動画など)を管理するツールです。代表的な製品は「Handbook」です。

MCMのみ異色?その理由は?

MDM・MAM・MCMのそれぞれの特徴と代表的な製品を紹介してきました。なぜ「MCM」のみ異色なのか?それは管理ツールの導入部門または利用部門がMCMのみ明らかに異なるからです。

【管理ツールの導入部門・利用部門】
- MDM…システム、総務部門
- MAM…システム、総務部門
- MCM…マーケティング、営業部門

MDMやMAMはデバイスの紛失対策や不正利用、セキュリティ対策などの目的で導入されます。したがって、その担当部門であるシステムや総務部門が導入から利用まで行うことがほとんどです。

一方、MCMは業務で利用するコンテンツを管理するツールです。その対象は販促ツールなどであり、営業部門やマーケティング部門が管理します。したがって、その管理ツールも選定・導入時はシステム部門も関わるかもしれませんが、実際に利用するのは営業部門やマーケティング部門です。

MCMは平たく解釈するとストレージ機能です。企業でストレージ機能を検討するのであれば、システム部門や総務部門で検討することもあるかもしれません。しかし最近ではOffice365やG Suiteの普及も進んでいるので、その中に含まれているOneDriveやGoogle Driveを利用するケースが多いのではないでしょうか。

スマホやタブレットを導入する、だからEMMを導入しよう!となった場合に、MCMの機能は必要でしょうか?MDM・MAMの要件のみで事足りるのであれば、そこに焦点を絞る、またEMM製品でもMDMのみの機能を利用するプラン、MDM製品でもMAMの機能を保有している(その企業の要件を満たせる)こともあります。

UEMとは、もはや混沌としている世界

UEM(Unified Endpoint Management)は日本語で「統合エンドポイント管理」と呼ばれます。Workspace ONE(AirWatch)を提供するVM Wareが提唱し、日本でも聞くようになった概念です。

もともとVM WareはEMM製品であるAirWatchを提供、このAirWatchにシングルサインオンの機能である「Workspace ONE Access」などの機能がセットになり、現在ではUEM「Workspace ONE」として提供されています。

Workspace ONEのサイトを見ても分かるように、UEMは大変「巨大」なシステムです。特に中堅・中小企業でデバイス管理にそこまでコストをかけることができない場合、導入してさあ使おう!とはなかなかいかないです。

デバイスを管理する製品だったMDMが、市場の変化に応じて機能追加が行われ、名称まで変化していきました。MDM、MAM、MCMといった独立した製品、それを一つの製品で統合できるEMM、さらにそのEMMが進化してUEMとなり、次は何が来るのでしょうか。もはや混沌としている世界、名称ではなく、何をしたいのか、何を管理すべきなのか、から入らなければいけません。

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