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ろくでなしブルース(コンサル失敗談編)  

「ちょっとコレを読んで、吉田さんの
 感想を聞かせて」

以前、とある企業にお伺いした時のこと。
お会いした役員の方から見せて頂いたのは、

A4一枚のフォーマットにびっしりと
文章が記載されたレポートでした。

なんでも社内研修の後、
管理職の方に課している
課題レポートとのことでした。

「研修の振り返りとして、
今期の自分自身のマネジメント業務に 
関する課題と取り組み、現状の成果を
具体的に記載してください」

というようなことを問う設問に対し、
書かれた文章を一読。お伝えした感想は、

「この方は、たとえば『新規受注が取れて
いない』という課題に対し、

『自分はこんな商談に動いた』『部下に
こんな指導をした』という取り組みは
たくさん書かれていますが、

一方で『その取り組みで、課題の新規受注
や見込み先が増えた』『部下の行動や営業
成績がこう変わった』という成果が書かれて
いません。

自分のマネジメント業務の成果を、
という問いに対し、取り組みだけの紹介で
終わると自己PRだけに見えてしまう。
それがもったいないと感じます」

でした。頷く役員の方は、私の感想を
聞いた後、

「まさに、こうした意識の管理職がいるのが、
ウチの課題なんだよ」

そんなことを言われました。

後日、その企業にお伺いした時、
改めてその役員の方からお話がありました。

なんでも先日、社内の管理職を集めた会議で

私がお伝えしたレポートの感想を、

「外部の人から見ると、ウチの管理職クラスの意識は、単なる自己PRだそうだ」という言葉を添えて伝えられたらしく、

「ウチの連中、みんな固まっちゃてさ」


そうなんですね、、、と答えつつ

しまった!失敗したなあ.....。

固まった。思考停止にさせちゃったか。
それじゃあ、意味が無いんだよなあ。

後悔しても、後の祭りです。

当事者の方たちに
「気づいてもらうこと」
「動けるようにすること」
「自ら改善しようと思ってもらうこと」

人それぞれのスタイルはあれど、
それがこの仕事で求められること。 
私がやったことは、結果的に
正反対のことでした。

見せられたレポートの文章、
表面的に読めば

「自分のマネジメントを問う設問に
 私はマネジメントできてません、
 を全力でPRしていて痛々しいです」

が率直な感想ですが、それでは
課された課題を提出した人にとって

「期限通り提出したのに、なぜ責められる?」
というフィードバックしか残さない。
 
具体的にここも書いてあれば、
とポイントを伝えても、

社内で影響力のある人から伝えられれば
同じように「予想外の不意打ちをされた!」
というセカンドインパクトが起きる。

本当に客観的なフィードバックを
するなら、

「なぜ、この人はここまで詳細に
『自分の取り組み』を一生懸命、書いたか?」

「この管理職以上の役職者や会社が
 『現場の取り組みをちゃんと見ていない』
 と感じている?」

「または、自分たちの状況をきちんと観て
 マネジメントしてくれる上司がいないと
 感じている?つまり不安感がある?」

など、

最低限、書かれた文章の背景は
推測すべきだろうし、

「そもそも、この課題レポートを提出
 させる目的は何か?」

「研修目的から考えて、どんなフィードバック
が最適か?」

「課題を課した側はそこまで考えていた?」

も役員の方に問うべきだった。

セカンドインパクトを与えるなら
むしろ、そちら側だろう。

なんにせよ、当事者たちが固まったら
研修の効果は、それで停滞してしまう
可能性がある。

下手をすれば、優秀な人材ほど
愛想をつかし退職するリスクも高める
要因の芽となる。

帰り道に内心、自分の行ないを
振り返りつつ、後悔しても
取り返しがつかない失敗でした。


「研修は、終わった後が大事」
本当にその通りです。

新入社員研修、管理職研修、
役員研修と世の中には
さまざまな研修が存在しますが、

「現状、我々の課題は何か?」

「その要因は何か?」

「要因に対し、各自の立場や背景からは
 どんな対策、または支援が必要と
 思うか?意見を知りたい」

そもそもが、そうした課題解決の思考から
生まれたケースが多いはず。

本当の課題解決、問題解決の思考に
「正しい」「間違っている」の上からの
ジャッジや「犯人探し」は不要かつ有害です。

繰り返しになりますが、

「研修は、終わった後が大事」

どれだけ目的にかなう適切な
フィードバックができたか?

も、その大事の一つ。

普段の業務から少し離れた時間を作り
本質的なテーマと向き合い、学ぶ貴重な時間。

コロナ禍でも研修が行われるなら、
働く環境、生活の環境すら変わった今こそ

過去の私のような失敗を犯さず、
たくさんの「気づき」が生まれると
良いなあ。

一度、社会に出ると多くの人が
学ぶ機会って、なかなか無いからね。。。

春は、そんな自分の失敗を
思い出す季節です。

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