しがない介護職員が自分の取り組みについて語っちゃいます

新年度ということで、今自分が取り組んでいる仕事の魅力について少し語ってみようと思います。

現在、自分は障害者のデイサービスに勤めています(知的に障害のある人がメインです)。日々色々なことが発生し、一喜一憂する毎日ですが、ぼちぼち楽しくやれているかな、と感じています。それぞれの人との付き合い的な要素も多々ありますが、やっぱり自負と誇りを持って取り組んでいるところも大きいので、ここでは敢えて「仕事」と表現します。自分が今の仕事で魅力を感じている点は、大きく2点あります。


1.目の前の人に懸命に

障害者それぞれに得意なこともあれば苦手なこともあります。基本的には苦手なこと、一人でするのが難しいことを手伝うこと、支援することが自分たちの仕事になります。人それぞれに苦手なことは違いますが、一緒に出掛けたり、ごはんを食べたり、買い物をしたり、といったありふれた日常生活を一緒にやっています。具体的に一緒にやる活動としてはそのような形になりますが、もっと大きな枠として捉えると、健康管理や金銭管理のサポート、社会活動支援などをしていることになると思います。栄養バランスを考えた食事の準備、必要な通院の手配、不利益を被らないようなお金のやり繰り、福祉サービスを受けるための手続き、介護者やボランティア集めなどなど、直接的ではないにせよその人を支えるための活動を幅広く多岐にわたってやっています。

「この人のために何が出来るのか」

「こんなこと一緒にやったら面白いのではないか」

「この人がやりたいことを叶えたい」

「この人はどんな生活がしたいのだろうか」

そんな気持ちが自分の原動力になっています。障害故にその人が何を考えているのか、何を望んでいるのか、こちらの言っていることや思っていることが通じているのか、意思疎通が難しい場面も多々あります。正直、分からないことにイライラしたり、理不尽なことに哀しくなったりすることもあります。その分、「分かった!」となったとき(一方的に分かった気になっているだけかもしれませんが)は凄く嬉しいです。楽しそうな様子を見ると心弾みますし、笑顔が見られるとホッとします。

分からないからと諦めるのではなく、その人が望んでいることを何とかして汲み取ろうという姿勢。他人なんだから全てを分かることは出来ないだろうけれど、少しでも分かろうとする努力は惜しみたくないなぁと思います。

ひょんなことから縁あって関わるようになって、その人の生活の一部を担うようになったから。その人と一緒に生きていきたいから。その人の送る生活が楽しく豊かなものであって欲しいと願っているから。だからこそ、目の前にいるその人のために一生懸命になれるんじゃないかと思います。


2.「らしさ」を大切にした居場所に

障害者のデイサービスなんですが、自分が勤めているところは特に”居場所”的要素の強いところだと思っています。

”居場所”足り得るために、自分が一番大切だと思っているのは、障害の有無に関わらず、この場所に関わる人が心地良くいられる場所であることです。そのために、お互いを尊重し否定しないこと、「やりたい」と思うことを実現できる場所であること、それぞれの個性、「らしさ」を大切にすること、を意識して取り組んでます(実際に出来ているかは置いといて)。

否定しないこと。言葉にするのは簡単ですが、実際にやるのは多分凄く難しいです。自分の思っていることと違うことを言われると、反射的に否定の言葉が出てしまうこともあります。しかし、否定される側の気持ちはどうでしょうか。特に障害故に否定され続けてきた人にとってはとても辛いことなのではないか、と想像します(あくまで健常者としての自分からしか想像できないので、程度の差はあれ想像を絶するようなものなのかもしれません)。だからこそ、目の前に向き合っている人が何故そのような行動や主張をするのか考え、そのような行動や主張を受け入れられたら良いなぁと思っています(あまりに理不尽なこととかどこかで折り合いをつけないといけないようなことも沢山ありますが…)。

「やりたい」と思うことを実現できること。それぞれが「やりたい」と思っていることを実現できる場所でありたいです。自分の「やりたい」が実現できることは大きな活力になると思います。想いが人を動かす、ベタな言い方になってしまいますが、人を動かすのは強い想いだと思っています。だからこそ、想いの発現である「やりたい」という気持ちを大切にしたい、「やりたい」と思うことを実現したいです。「あれを食べたい」「これを買いたい」といった些細なことから、「みんな笑顔で過ごしたい」といった抽象的なことまで、みんなの「やりたい」が実現できる場所、「やりたい」に向かって一生懸命になれる場所って素敵だなと思っています。だからこそ、みんんなの「やりたい」が溢れて、どれもが否定されず、「よし、やろう!」という雰囲気になるような場所にしたいです。というわけで、しょうもないこと些細なことも、どんどん「やろう!」という雰囲気を絶賛醸成中です。いつか大きなことも「やろう!」と言えるように。

「らしさ」を大切にすること。心地良くいられる場所であることは、自分らしくいられる場所なんだと思います。だからこそ、それぞれが自分らしく過ごせること、それを受け入れる土壌があることが大切です。「自分らしさ」と簡単に言いますが、一体何なのでしょう。あくまで主観ですが、えてして健常者よりも障害者の方が、自分の感情の発露が大きいと感じています。健常者はどこかで空気を読み、他人の気持ちを察して動いてしまうことが多いでしょう。その結果、自分らしさを出せず窮屈になってしまっている、ということがありがちです。障害者、特に知的障害者の中には良い意味でそういう次元を超越した人がいて、「自分は自分」ということを体現している人がいます。窮屈になってしまうのは否定されるのが怖いから。だからこそ、否定しないこと、「やりたい」が実現できることの積み重ねが「自分は自分」ということを形作っていくのかな、と思います。先に挙げた障害者のこと、上手く表現するのが難しいですが、否定される恐怖とか受け入れられる喜びとか、そういう心の機微とかを超越して「好きなものは好き」「嫌なものは嫌」と真っすぐにその言葉や態度、仕草で表現していると言いますか、変に取り繕ったりせず、ありのままの姿をさらけ出していると言いますか、そんな感じです。なかなかそんな次元に辿り着けるわけではないですが、自分の素直な気持ちに従うことが「自分らしさ」に繋がるのかな、みんながそんな気持ちになれる場所にしたいなぁと思っています。


3.これからに向けて

大きなことを言いましたが、まだまだ至らないところも多々あります。むしろ、至らないところばっかりだと思います。だからこそ、もっともっと改善したい、変えていきたい。それが自分の原動力であり、「やりたい」に繋がっています。目の前の人に懸命になって、それぞれが拠り所にする想いが重なり合い、混ざり合う、そんな居場所を作っていけたら良いなぁと思っています。

なんか魅力を語るつもりが新年度の抱負っぽくなってしまいましたが、そんな感じでボチボチとやっていきたいですね。

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