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ねこみたいだね 手話さばきだけ しっている くびわのない迷よい子 といをつたう あまだれは …
某誌にて選外佳作を頂いた詩です。 たんこぶがいっぱいだ 毛穴ばっかり膨らんで 口がいっぱい…
散る 目のうらの 星つぶみたいに うすみどりの 影 それは ぼくの まうらから…
喉に貼り付くイガラ岩があり それは 瞳の膜にもぐるようでもあり 空に点描を打つようでもある …
初夏のはじまりの 冷んやりとした夕べに もう終わりかけたパンジーの フリースを羽織ってしま…
雑草のひき痕が 小さな星々をつれてくる 蟲という字面が 白内障の魂をつれてくる 夢路のなか …
茜でまかなえた日の くもまっ下で カエンタケの毒はまだ もせずにいた ガス抜けライターは きのうも砂鉄だったことを 時報とともにお知らせします ポストの口々へ 定型分をねじこみ歩く 茜しひびの林道、葉ずれ きみもこうやって拐われたんだね 夕日が沈んだせぇので 結ばれない句点を おはじきにした
にくたいも れいこんも なんだろう点線みたいだから ボンドでごまかすように 絲にすることが…
花曇りの重ね塗りで 空の下地を忘れている 名付けられたことの安寧 上目だけの遊歩道 引力の死…
うどんこ病の おけしょうに身をひそめて かおをまっ白にした はだにの卵たちは 葉脈のなだら…
わたしに耳鳴りを与え 静けさを奪い だれかが 静かの膨らみのなかで 窒息しかけていることだろ…
えらに勝手に入り込む 雨風いっぱい光もいっぱい 選り分けなんて やってられない わたくし海竜…
あめつちのはじめのとき (天地初發之時…) 読んだこともない一節は だれの元からここへ来た…
あたまに大福が詰まっている 瞼を押し返すあたり みっちりしてて美味しそうだ ただ ここに作るのはいかがなものか はじめからやり直す義務ができている 涙腺をぬかるませ 青田んぼまでかえす頃 わたしの長靴で蛙がないている せわしない雨ん坊たちが 輪投げじまんの序列を決めている まつ毛が少しくすぐったい 砂糖がどこかで焦げている あずきを鍋に入れ忘れている 火消しでしたら 少しの涙で足りましょう ええ むろん駆けつけますとも この輪がうまく入るまで いましばらく