Russian Hardbassの音楽性と文化

イントロダクション

ウ”ィ”エ”流行りましたね。これはクラブミュージックのジャンルで言うと、ロシアで見られるHardbass(ハードベース、Russian Hardbassとも)というものに該当します。以下はHardbassを取り巻く文化と音楽性の解説です。日本語の資料があんまりなかったので。


音楽性

クラブミュージックのジャンルを判別する有力な方法の一つとして、キックとBPMに注目する、というものがあります。

(プーチンママ(?)が違法レイヴにブチギレています)

Hardbassは145~160BPMぐらいの四つ打ちで、Donkbass(ドンクベース)と呼ばれる特徴的な音を利用しているのが最大の特徴です(ただし、十分条件ではありません)。上の曲では開幕から裏拍で鳴っています。

また、全体的にダーティーかつコミカルな雰囲気があり、しばしば下品なロシア語/英語のMCが挟まれます。

(みんな大好きHallucinator - SatanismのJakov Burovによる肉々しいMV)

こちらでは裏拍ではなくメロディーにdonkが使われています。

他のクラブミュージックと比べると、Hardbassは少数のアーティストが人気を独占しているようです。Hard bass schoolDJ blyatmanXS projectだけでも現代Hardbassの大半をカバーできるのではないでしょうか。あとはHardbass以外にも手広くやっていますが、Russian village Boysなんかも人気です。

(2021/11/1追記) uameeGopnik McBlyatAlan Aztecも聞いてみてください。


文化

さて、このHardbassですが、英語圏のミーム文化ではロシアのネタ曲として認知されているようです。例えばこんな感じ(最初の2つだけ見れば十分です)。

ロシアのヤンキーが暴れ回っています。adidasを着て、ヤンキー座りをして、ウォッカを飲み散らかすのがロシアにおけるステレオタイプのヤンキーです。最初に貼ったVice cityにもいますね。これらのステレオタイプのヤンキーはGopnik(ゴプニク)と呼ばれています。

(チャラい)

Adidasはドイツ企業なのになぜロシアの若者に好まれるのかというと、ソビエト五輪でアディダスの服を着て活躍したソビエト選手達の影響、というのが定説だそうです。ロシアの若者がadidas好き、というのはミームの外でもそれなりに認知されているようで、例えば映画ズートピアではチンピラのシロクマがadidas風のジャージを着たりしています。

Gopnikは他にも、ヒマワリの種を食べる、眼窩でウォッカの瓶を開けるなどいろいろな文化を持っているようです。ただ、最近は古典的なGopnikはほとんど見ない、という説もあります。想像ですが、日本のヤンキーがボンタンを着る文化が廃れてきている、みたいな感じでしょうか。

話をHardbassに戻すと、このGopnikはHadrbassのMVを見れば毎度のように出てきます。他にはソビエト、熊、ウォッカやミリタリーなどのテーマが取り扱われており、ロシア色が前面に押し出されているようです。まさしくHardbassはRussianなクラブミュージックと言えるでしょう。


まとめ

HardbassというのはBPM145~160ぐらいの四つ打ちでDonkbassが使われているクラブミュージックで、ロシアのやんちゃな文化がテーマになっていたりします。


(参考資料)

・Donkが使われている音楽について

「Hardbass、ハードベース/ハルドバス(ロシア読み)はロシア生まれの音楽ジャンルで、Scouse HouseやHard Bounceなどに似た音色を持っています。」(https://p.eagate.573.jp/game/2dx/26/newsong/05_hardbass_festa.html より) 適当にググって聞いてみるとDonkが使われていますね。他にも、UK / Happy Hardcore等でもDonkが見られる事があります。


・Gopnikの参考資料

https://weirdrussia.com/2015/01/04/why-is-adidas-so-popular-among-russians/


(おわり)

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