8月26日発売/絵本『かぜのこうさぎのピュピュン』(アリス館)の作った時のこと
とくべつなひ じゃなくても
きみに あえたら うれしいひ
暑い日が続いていますね。わたしは暑さにめっぽう弱い人間なのですが、それでも近年の異常な暑さは耐えられるものではありませんよね。そんな暑くて暑くてたまらない時に、心地よい風が吹き抜けるような、さわやかな絵本ができました!
2年ぶりの単行本となる出版絵本3作目『かぜのこうさぎのピュピュン』(アリス館)が、8月26日(月)発売になります。(地域によって遅れる可能性があります。)
絵本『かぜのこうさぎのピュピュン』(アリス館)
心地良い風の吹く丘には「かぜのこ うさぎ」たちが暮らしています。「かぜのこ うさぎ」のピュピュンは風にのってきたお手紙を見つけます。「あれ?お友達のピョピョンからだ!こうしちゃいられないぞ!さあ!ひとっとび〜!」ピュピュンは風にのれば、どこまでだって飛んでいけるのです。読み聞かせにおすすめの、大好きなきみに会いにいく絵本。
刊行した絵本2冊『メルシーのすてきなおへんじ』『かくれんぼハウスへようこそ』は猫が主人公でしたが、今回は初めてうさぎ....ではなく「かぜのこ うさぎ」が主人公です。「かぜのこ うさぎ」とはさわやかな心地よい風が吹くところを飛んでいく空飛ぶうさぎです。今回はピュピュンという飛ぶのが大好きなかぜのこうさぎのお話です。
絵本のテーマ
今回はアリス館の担当編集さんと一緒に「特別な日ではない。けれど幸せな日」をテーマに作っていきました。大切な人たちとご飯を食べたり、おしゃべりしたり、お出かけしたりすることは、尊い時間だと思うのです。誕生日などの特別な日じゃなくても、今日、君と一緒にいられたら、ケーキなんかも食べられたらもっと幸せ。そんな嬉しい楽しいご機嫌な気持ちを絵本にしました。
この絵本ができたきっかけ
この絵本は歩道橋を歩いている時、強い風が吹いてきて風の強さでふき飛ばされそうになり「このまま目的地まで飛んでいきたいな...」と誰しも思う願望がきっかけで出来ました。その後、アーサー王の伝説に出てくる「7リーグ靴」をヒントにお話を考えていきます。「7リーグ」とは38.892km。その距離を一振りで進んでしまう魔法の靴があります。アーサー王の伝説に登場する魔法使いマーリンが持っていて『ハウルの動く城』にも登場するイギリス童話では有名な靴です。
最初はそんな靴を履いたうさぎが主人公でした。それから東京・谷中のひるねこBOOKSに立ち寄った時に、ご店主に絵本のあらすじを話したところ、助言をいただいたり、話しているうちに新たに思いついたり...絵本のタネがどんどん膨らんでいったので「これは原稿書けそうだ!」と、帰ってすぐに取り掛かることにしたのです。
ある程度固まってきた時に、既に他の絵本企画を練っていたアリス館の編集担当さんに原稿を送りました。そこから編集担当さんにビシバシ鍛えていただいて、約4ヶ月で今の絵本の原形(ラフ)が出来上がりました。
声に出して読んで心地よいフレーズ
この絵本を作る時には、あるフレーズをキーポイントに置いて、そのキーポイントからタイトル、そしてお話の構造を考えていきました。そのフレーズはぜひ絵本を読んでご確認いただきたいのですが、もしよければ声に出して読んでみてください。なんだか自分も主人公のピュピュンとどこか楽しい場所へ飛んでいけそうなフレーズになっています。
読み聞かせの絵本として、お子さんやお母さんお父さん、保育関係の方々など、いろんな方に楽しく読んでいただけたら嬉しいです。
楽しいしかけ
これまで発売してきた絵本もお部屋の家具や玩具、本などを描くときに様々なオマージュ要素を取り入れているのですが、今回も、今までの絵本と同じくらいかそれ以上に取り入れていきました。
上記画像は絵本の1ページです。わたしの絵本を読んでいる方は「あれ?」といくつか見つけてくださると思います。1番わかりやすい箇所は、棚の左端に、絵本『メルシーとすてきなおへんじ』(ひるねこBOOKSレーベル)の絵が描かれている部分です。
他にも今まで作った絵本の要素が取り入れられていたり、絵本が大好きな方はわかるかもしれない(?)オマージュ要素がありますので、ぜひ探してみてください。
見返しも見どころ!
今回の絵本は見返しも見どころのひとつ。ある程度絵本の原画が描き上がってきた時に、東京・蔵前の古書店frobergueのご店主に絵本のことを話しました。「見返しも可愛くしたいんですよね。」という話をしたところ、「見返しは地図みたいなのが良いよね〜」「百エーカーの森みたいな!」「そうそう」という話をして、色々なアイデアを頂いたので、見返しはピュピュンの世界が見渡せるような絵を描くことにしました。見返しは「これから絵本の世界に入りますよ」という大切な部分なので、原画と同じくらい気合いを入れて描きました。前と後ろの見返しは別々の絵になっているので、そちらもぜひ注目してみてください。
アリス館
アリス館はロングセラーの絵本『チリとチリリ』など数々の絵本や児童書を出版する児童図書出版社です。書店員で児童書担当だったわたしはアリス館の絵本が大好きで、新刊絵本が届くのをいつも楽しみに待っていました。
担当編集さんは出版デビューしてはじめてお声がけしてくださった方。「ぬまのうさんのうさぎの絵本が見たいです!」とひるねこBOOKSでお伝えしてくださったことは今でもよく覚えています。
それからお打ち合わせを数えきれないくらいして、時にはミッフィーカフェに行って可愛いエネルギーを補充しながら、約2年。やっと絵本として形になり、とても嬉しく思います。新人作家のわたしの気持ちを汲み取っていただきながらも、お話の構成を軌道修正して、わたしのやりたいことを自由にやらせていただきました。担当編集さん、ありがとうございます!
書店配布用チラシがかわいい!
今回アリス館の担当営業さんにも、とてもご尽力いただき、素敵なチラシを作っていただきました。
こちらは読者の方はあまり見かけないと思うのですが、出版社の営業さんは新刊絵本をご案内する時にこのようなチラシを作って各書店さんにFAXやメール、書店に出向いて直接ご案内に行ったりします。このチラシを見て書店さんは新刊注文数を決めるのです。
出版社は主に絵本を作家さんと懸命に作る編集さん、そしてその絵本の魅力がどうやったら伝わってたくさんの人に読んでもらえるのかを試行錯誤する営業さんの2つのお仕事で成り立っています。
絵本を作ってたくさんの人に読んでもらうためには、絵本作家の他に、編集さん、営業さん、そして書店が必要不可欠です。作家と編集さんだけでは絵本は売れません。営業さんと書店も揃って初めて読者に届けられることになります。
担当営業さんには今回、素敵なチラシやPRアニメーション(近日公開予定)など、絵本を紹介する様々な媒体を作っていただきました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
〖サイン本予約を行います! 〗
今回、4店舗の本屋さんにご協力いただき、サイン本の予約を行うことになりました!ご予約をしていただくと、本屋さんにちなんだ予約特典を同封いたします。7月4日(木)17:00から各本屋さんで開始いたします。
左から、
【東京・谷中ひるねこBOOKS】正方形カード
https://hiruneko.thebase.in/
【奈良県本屋itoito】栞
https://booksitoito.stores.jp/
【三重県BUMBLE BEE BOOKS】栞
https://bum1232106.owndshop.com/
【東京・蔵前frobergue】円形ステッカー
https://frobergue.stores.jp/
となっています。
本屋さんそれぞれ特典が異なりますのでお好きな本屋さん、お好きな特典をお選びください。特典は予約分のみ印刷します。店頭分の絵本に↑の特典はつきませんので、ご了承ください。
〖展示もあります!〗
この絵本は原画展やパネル展も開催いたします。
『かぜのこうさぎのピュピュン』パネル展
8月26日(月)〜1ヶ月間ほど
at. 有隣堂横浜駅西口店
付録絵本『しりたがりのこりすくん くるりん!せなかだあれ?』の複製画&パネル展を行ってくださった新刊書店で今回も行います。今回複製画はありませんが、何日か在店してサインを描いたりしようかなと思います。また有隣堂横浜駅西口店では、表紙絵の正方形カードをお渡しいたします。
※全てわたしが作って印刷発注するので数量限定です。無くなり次第終了です。よろしくお願いいたします。
『かぜのこうさぎのピュピュン』原画展
9月14日(木)〜10月7日(月)
at. 東京・蔵前frobergue
昨年個展「Nursery Rhyme」を開催した古書店で今年も行います。原画展示の他、絵本に登場するかぜのこうさぎ達のミニ原画や新作グッズを販売いたします。
展示、フェアのお知らせはSNSで随時行いますので、ご覧いただけますと、嬉しいです。
新刊絵本、どうぞよろしくお願いいたします!
ぬまのう まき
絵本作家。女子美術大学芸術学部デザイン学科卒業。
懐かしさが薫る、動物や人々の暮らしを描く。
2022年『メルシーのすてきなおへんじ』(ひるねこBOOKSレーベル)『かくれんぼハウスへようこそ』(ほるぷ出版)で出版デビューする。2024年1月に幼児雑誌「げんき冬号」付録絵本『しりたがりのこりすくん くるりん!せなかだあれ?』を担当。私家版絵本『Nursery Rhymes』なども制作しています。
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