バックカットジャガードの話
こんにちは、ぐちです。
今回はバックカットジャガードについて、いろいろな画像を紹介しながら、特徴をお話できればと思います。
バックカットジャガードはシングルジャガードの種類の一つでして、裏面の余分な糸をカッターで切って作るジャガードなので、バックカットジャガードと呼ばれています。カッターで切る前の生地を資料で持っていたのですが、今回の記事を書くにあたって引っ張り出そうとしたらどこかに無くしてしまいました。
その他の代表的なジャガードは下記の記事にまとめてみましたので、よろしければ、
さて、バックカットジャガードの最大の魅力は、なんと言ってもカットソーのジャガードにしか表現できない表面感だと思います。布帛のジャガードには出せないラフな感じ、それでいてニットのジャガードでは表現できない解像度でモチーフを作れます。
バックカットジャガードの一番の特徴として、モチーフとモチーフの間の糸をカットするために出来る糸の切断面と、ほつれないようにするフロートです。モチーフの端にある残像の様な部分がフロートで、柄を作るときは、フロート部分の見え方を考えながら図案を作っていくと仕上がりがイメージ通りに上がってきます。逆にいうと、あまりシャープな柄は得意ではないので、柄のデザインと素材の選択は慎重に行う必要があります。
バックカットジャガードの表面と裏面の画像です。チャコールTOPのグランド面に本来有るはずの糸をすべてカットして生地を作っていきます。その分、糸のロスが大きくなってしまうのですが、その潔さもかっこいいと僕は思います。世界で初めてバックカットジャガードを思いついた人は、どういう経緯で、モチーフ部分以外の糸は根こそぎ切ってしまえという考えに行き着いたのか、そんな事に思いを馳せながら他の作例も見てみましょう。
こちらはウールの糸を使って組んだバックカットジャガードです。無地の部分とモチーフ部分では、縮率が違うため、柄自体はすべて同じ大きさの四角形で組んでいるのですが、セット時に縮絨してこのような歪な形で上がってきます。こういったテクニックもカットソージャガードならではで無いでしょうか。素敵。
こちらのジャガード2種類は、はじめから生地の裏使いを想定して製作したジャガードです。フロートを作りたい部分にモチーフを配置して、フリンジの様な形で柄を作っています。
カットソージャガードは基本的に色数が4色までに制限されてしまうので、それ以上の色を使いたい場合、取れる手段は、4色以上使える編み機を探すか、上記画像のように、4色を交編にしたり綾にしたりヘリンボーンにしたり、遠目から見たら色が混ざり合って別の色に見えるように創意工夫で乗り切ります。画像ですとなかなか伝わらないのですが、赤x青で柄を組むと紫色に見えたり、赤x白で組むとピンクになったり、この、知恵を絞って色数を多く見せる工程が、ジャガード作りの醍醐味だったりします。
柄組みの際に黄色:黒の割合を1:1・1:2・1:3と変化させることによってグラデーションを作ることも可能です。
だんだんと話がマニアックな方向へ行ってしまったので、バックカットジャガードのお話はこれくらいに。次回は、そもそもジャガードの生地のデザインってどうやるのかを順を追って書いていきたいと思います。ではでは。
⬇次回予告の、虎柄バックカットジャガード制作途中の画像です⬇