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ボウリング オートスコアラー大研究 ④テレシステムズ→SLS 2023年版
はじめに
このシリーズでは、ボウリング場にある自動点数計算装置「オートスコアラー」について、2023年現在日本で稼働している4つのメーカー、Brunswick・QubicaAMF・NTTデータルウィーブ(旧ジェトロニクス・Olivetti)・SLS(テレシステムズ含む)の別に説明をしていきます。
テレシステムズ → SLSとは
これまで紹介した3メーカーは、いずれも日本仕様であっても最初は外資系の企業でしたが、このテレシステムズ及びSLSは日本の会社となります。
もともとテレシステムズは、歯科をはじめとした医療機器メーカーで、創業数年後よりボウリングオートスコアラーに参入します。
この時、テレシステムズとして自社販売するだけでなく、AMFやシャープにもOEM製品として卸しています。そのため現在でもAMF・シャープと画面に表示されるボウリング場はありますが、中身を見ればテレシステムズだということは容易に分かります。
また、テレシステムズ製品の販売会社としてスポーツレジャーシステムズ社(SLS)が設立され、一時期はテレシステムズとしてもSLSとしても販売が行われていることもありました。
しかし、テレシステムズの医療機器部門はタカラテレシステムズへ移管し、ボウリングについてはすべてがSLS担当に変わり、テレシステムズ自体は休眠しているのか何なのかという状態になっているよう。従って現在販売されている機器は名実ともに全てSLSということになっています。
このSLSは、後述しますが日本最大のボウリング場会社であるラウンドワンの、全国99場全てのオートスコアラーを供給しています。チェーン全店を同じメーカーのオートスコアラーにしているのは、他にはそもそもスコアラーメーカーが経営していたチェーンのボウリング王国スポルトくらいでしょうか?しかも同じ最新機器に揃えているのでまとまった収入になったかと思います。こうしたビジネスチャンスを物にできる強みもあります。
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なお、SLSはボウリングだけでなく、この映像付きビリヤード台も開発しています。
シェア
私はこのラウンドワンは全店舗オートスコアラーが同じでサービスも単一ということで、それほどラウンドワンは多くの店舗には行っていないのですが、筆者が投げたことのある144のボウリング場(うちラウンドワン7場)のうち、42場で導入されており、シェアは29%となっています。
特徴
SLSではストライク等で出る画面を「エキサイタ」というのですが、初期のころからストライク・スペア等に加え、1ピン残りという映像を用意しているのが他社にない特徴です。
また、伝統的にスロットマシン機能も付いています(後述)
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もっと設備的な面で見ますと、マスキングに映像スクリーンを設置し、それをスコアシステムと連動できたり、全レーンの当日・1週間・1か月のスコアランキングをモニターに表示出来たりと、多くの機能を持っています。
ただし10フレーム3投目後のリセットは、いったん1投目同様でレーキを上げてから再度下ろして倒す、という作業が必要で、そこでちょっと時間を食うという状況は現在でも続いていますね。
なお、前述の通りAMF・シャープ、テレシステムズ名義、SLS名義それぞれで販売機種名が異なっていますので、最新を除きグループ分けして紹介します。
Type1
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今ある最も初期のタイプは、エキサイタはないですがストライク・スペアとは画面にだけ表示される形式です。
この形式はだいぶ前なのですが、ピン上カメラは設置可能になっています。
Type2
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このタイプからエキサイタが登場します。初期はこのペンギンのもので、後期はカートのものという順序のように思っています。
この画面から、ストライクかスペアを取った時だけ球速表示が出ます。なんで場面が限られるのでしょうか?
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そして、スロットマシンも初登場します。このタイプでスロットが出るところは発動条件がストライク時に限られていそうです。スロット当選回数はフロントのコンピューターで記録され、無料券サービスなどに使うことができます。
Type3
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これまでのシステムのデザインから一変。スコアの画面が一気にデザイン性高いものになりました。この画面のレイアウトは最新でも変わっていません。
そして、様々な機能がここで導入されていきます。まずは先ほども書きました、マスキングにスクリーンで映像を流せるようになったのはこれからです。
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プレイ側に直接関係するのは、エキサイタのアニメーションをボウラー側が選択可能になったということです。このアニメーション、当時のFLASHアニメのクリエイターさんに依頼し作成されたとのこと。もはやFLASHというソフトがもう存在しない現代なのですが、このようにずっと稼働し続けています。
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また、ゲームの設定として、369ゲーム(3・6・9フレームはストライク計算とするハンデキャップ)、ノータップゲーム(指定本数以上倒したらストライク扱いとする)の選択ボタンがありそうなのですが、選択できるようになっているボウリング場は見たことありませんし、そもそもこれらのルール分かる方は少ないのではないでしょうか?
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さらに、空いているモニターで期間ごとのランキングを出すことができます。当日のランキングをはじめ、週間や月間、1ゲームや3ゲームシリーズなど様々なランキングを表示させることができ、さらに後半フレームで高得点を出していると、ランクイン可能性があることも通知してくれます。
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スロットマシンもパワーアップ。これまでは発動条件がストライクのみだったのですが、ここからはストライクだけでなく、1ゲーム中の一定回数、ランダムに発動させるという使い方をしているボウリング場があります。
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さらに、通常通り当選回数をフロントでカウントするだけということもできますが、当選した場合にラッキーカード発券機よりカードが排出する、というシステムを、東京・マルアイボウリングで導入しています。このような何かしら出てくるシステム自体、ボウリングではこれしか見たことないんですね。
店舗側でも、単純なスコア・ゲーム数計算だけでなく、会計システムに組み込むことがこのオートスコアラーでは可能です。そのためSLS導入のボウリング場の多くは、レシートのフォーマットが共通になっています。
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なお、この型までは、操作ボタンによる操作方法を取ることも可能でした。BrunswickとQubica AMFの2社は、操作ボタンがキーボードで非常にボタン数が多く、Olivettiは全てタッチパネルでボタンがないところで、このスッキリしたボタンというのは使いやすいかもしれません。
FS-1
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SLSの一般ボウリング場向けの最新版がFS-1です。この型は全てSLS名義での発売になっています。
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スコア画面そのもののレイアウトは前型と同じになっていて、そのレイアウトだけ見ればもう20年近く変わっていないということになります。
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一方、操作パネルはこの型はタッチパネルオンリーとなり、メニュー画面の出し方は画面左の>>を押す形になります。
この操作パネル、スコア画面のいずれも、ボウリングマンガ「きゅぽかの」の壁紙を選択することが可能(ボウリング場によってはロックされている場合も)となっています。
また、この型でエキサイタ選択可にしているボウリング場があまり多くないものの、選択機能もあって、「きゅぽかの」のエキサイタが搭載されているほか、その他は前型のFlashアニメーションを出すことも可能です。
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恒例のスロットもさらに進化し、派手な3Dでの演出になっています。スロットの結果が出るのに時間がかかるようになったというところはありますが、こうしてスロットボウリングはSLS長く愛されています。
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ところで、FS-1のトップの画面に出てくる恐竜ですが、FS-1導入のボウリング場ではトップ画面以外で見ることはできません。ですが、ラウンドワンのエキサイタ「ダイナソー」を選択すると、この恐竜が活躍するものを見ることができます。
同じSLSのシステムですが、その神髄を見るには複数のボウリング場を回らないといけない、それがオートスコアラーの奥深いところです。
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なお、自分のプレイ時には見たことはありませんが、このようなルーレット画面が回っているのに気づきました。ルーレットと言えばOlivettiらしいところなのですが…これは今後見つけ出したい機能です。
セルフチェックインボウリング(SCB)
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このFS-1には、さらに新しい機能「セルフチェックインボウリング(SCB)」が搭載できます。
SCBはチェックインから投球終了まで全て店員を介さずにできる機能なのですが、それだけですと他のボウリング場でも近いシステムはあります。ですがSCBは、
受付後にそのままレーンに行く
レーンに付いたら、自身のスマホでクレジットカード決済
延長の希望する場合は再度スマホで延長手続きをする
と、要するにスマホを決済手段とする点が大きく異なります。
また、一つのボウリング場内で、SCB対象レーンと非対象レーンで分けることも可能です。
ラウンドワン向けオートスコアラー
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全国99店舗のラウンドワン、その全てにおいて設置されているであろうオートスコアラーは、SLSがラウンドワンのために開発した専用機種です。ラウンドワンにはかつてよりSLSと独占し、Type2頃の設備から専用機種が使われています。
見ての通り、スコア画面のデザインも一般ボウリング場用のものと異なっています。
実はテレシステムズ→SLSのスコア画面には通常、現在時刻が表示されているという伝統があります。ですが、ラウンドワン用にはそれがありません。時計がないというのはテーマパークでも用いられる、時間を忘れて長時間遊ばせる手法なのですが、それがはっきり見て取れます。
ラウンドワンのオートスコアラーは、アプローチの前後にカメラが設置されており、投球後、ゲームが映る前であれば好きなタイミングでリプレイを呼び出すことが可能です。任意リプレイ機能はありそうで他機種にない機能ですし、倒ピン数の間違い、マシンタッチか否かなどの判定も画面で行うことができるので非常に重宝できる機能。他の機種にも載せて欲しいものです。
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そして、ラウンドワンでは、期間限定のタレントやアニメによるエキサイタ企画を実施しています。このように同時にいくつものコラボ企画が同時に実施されており、それを切り替えて出すことが可能です。
それぞれが期間限定のため入れ替わっていくことになります。
なお、デフォルトは「コカ・コーラ」、「コカ・コーラシュワシュワVer」、それと「ダイナソー」は先ほどのFS-1に登場した恐竜のものです。そして全くコラボが無い時限定の激レアものが「キャンギャル」。このキャンギャルですが、Type3のスロットで当選した際に登場する人物たちが出るもので、ここも含めて他のボウリング場で新たな発見を得ることができます。
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さらに、このラウンドワン独特の機能がROUND1 LIVEです。他の店舗のレーンとつないでプレーをしたり、クエストやバトルボウリングでは割引クーポンをかけてのプレーをすることが可能。また他店舗にいるプロボウラーとのイベントもよく実施されています。
その中なのですが、「フリーLIVE」という機能はほとんど使われていない感じが。この機能は、17LIVEやSHOWROOM、ミクチャのような、配信をして、リスナーからはギフト代わりの「ピン」を投げてもらい、そのピンが一定数集まればクーポンと交換ができるというものです。
ラウンドワンのアプリのログインボーナスは、このフリーLIVEでしか使うことのできない「ピン」なので是が非でも使いたいところなのですが…
なお、この機能があるため、ラウンドワン店内での17LIVE等他のシステムのライブ配信は禁止となっています。
ちなみに、ラウンドワンのオートスコアラーにはスロット機能はありません。
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なお、これはまだその意味が分かっていないのですけど、テレシステムズ→SLSのスコア画面には、初期から一貫して縦5列のインジケーターが描かれていて、たまにそのうちの1つが点灯しています。点灯しているからには何かしらの理由があるということだと思いますが、なんなのでしょうか?