見出し画像

2024/7/7 あどけなく笑う娘だった かつては

何も書くことがないからない本の感想でも書くかー!!


四十万寿寿(しじますず)の未収録短編が全部入った短編集が文庫で出てたので買ったり。

『あどけなく笑う娘だった かつては』

悪い感じしかしないタイトルがいいわね。

中身も今まで未収録だったからつまんない話かっていうとそんなことなくて個人的にはすごい満足。

表題作の『あどけなく笑う娘だった かつては』TVに映った女性が昔自分となかの良かった女の子だったことに気づいてから始まる主人公の独り語り。
ラブストーリーのような回想とTVに映っている今の彼女とを見比べる構図で話が進んでいくんだけど。
話が進むごとに彼女がなぜTVに映っているのかが読者は分からなくなってくるの。
はじめは芸能人になったのかと思ってたんだけど、実はニュースでなんかしたんじゃないかとか、死んじゃってて顔写真が映ってるんじゃないかとか。
真相は…ってそこまで言っちゃうとフェアじゃないからまあ書かないけど。

あとは三つ目の『僕の愛する天上人様』も同じような構図だけど悪くないわね。
「僕の愛する天上人様へ」から始まる手紙だけが何枚も続く話。これも読者が色々と舞台背景を想像しちゃう話ね。
狂信者的な主人公が天上人様へその日、幸福に導いてあげた人の報告をする手紙なんだけど。
『幸福に導いてあげる』ってのが実は殺しちゃうことなんじゃないか。天上人様は主人公の妄想じゃないんじゃないか。主人公は実は正気なんじゃないか。
想像できる余地をいくらでも残したまま後味の悪い感じで手紙は終わる。
けど実は大オチが最初の手紙の縦読み(まあ、横読みなんだけど)にあるってのはまあ、ネットの都市伝説っぽくて好きだわ。

四つ目の『こっち側のミチコさん』は自殺しても絶対に助かるっていう不条理っぽい世界観が、短編集なら一本ぐらいこういうのが入ってても良いかしらって思わせるし。
ラストがブラックなのもいいわね。

最後の『このまんまの道』は一応、本の最後になってるだけあってラストが綺麗で素直にいいわね。

とべた誉めしてみたり。

読み返すと照れるわね。
やっぱり全然良くないって書いとこうかしら。
言い訳として。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?