生成AI利用時に気をつけたいこと
これは「Funds Advent Calendar 2023」7日目の記事です。わたしはファンズでエンジニアをしているコードネーム背番号8です。
6日目は takahiro0224 さんの「Fundsエンジニアが今年輪読した本を振り返る」でした。
書籍を通じたインプットは先人の知識をダイレクトに吸収できるので効率が良いなと考えています。
それに加えて参加メンバと議論しながら知見を深められるのは一人で読み進めただけでは取りこぼしてしまう知識を得るきっかけにもなるので非常に良い取り組みだなと感じました。
記事を読んでいないかたは是非、読んでみてください(特にサーバーサイドエンジニアの方)。
今年1年の生成AIの動向
今年は、ChatGPTを始めとした生成AIが急速に進化して強烈なインパクトを残す年となりました。
わたし自身も普段のコーディング作業において ChatGPT、GitHub Copilot 等をバリバリ活用するようになり、明らかに業務効率が上がったなという実感があります。
わたしはただのブームでは終わらないと確信してます。取り残されないようアンテナを貼って今後の動向にも注目していきたいところです。
この記事で話すこと
生成AIは非常に便利なツールである一方、使い方を誤れば法令違反や権利侵害のリスクも孕んでいるというのも事実です。このような背景から日本ディープラーニング協会(以降、JDLAと呼称)が生成AIの利用を検討している企業向けにガイドラインの雛形を公開してくれているのでこちらをもとに注意点をお話していきたいと思います。
データ入力における注意点
🚨著作物や肖像と同一・類似の生成物の生成が目的の入力行為
単に生成AIに他人の著作物を入力するだけの行為は原則として著作権侵害に該当しませんが、入力と全く同じものを生成することが目的の場合は入力行為自体が著作権侵害になる可能性があります。
🚨個人情報・機密情報を生成AIサービスに入力する
該当情報の入力はAIの学習に利用される他、漏洩のリスクにも繋がります。
WEB版ChatGPT には機能追加がされて、対話履歴をOFFにすることで学習に使われないよう設定できるようになりました。
また、OpenAI の規約には ChatGPT Enterprise 、 API は入力データを学習に利用しませんという記述があることから前述のリスク回避のためのワークアラウンドが存在しています。
とはいえ
OpenAI社は第三者なので個人情報保護法上、あらかじめ本人の同意を得ることなく個人データの入力はできない可能性がある
他社との間で秘密保持契約(NDA)などを締結して取得した秘密情報を入力する行為はNDAに反する
生成AIの処理内容や規約の内容によっては当該機密情報が法律上保護されなくなったり特許出願ができなくなる可能性がある
のようにな入力自体が問題になる可能性もあるので原則入力しないほうが無難なように思います。
生成物の利用における注意点
🚨生成物の内容に虚偽が含まれている可能性がある
例えば、ChatGPTへの入力値に対する応答は、内容の正しさが保証されているわけではなく事実と異なる回答をしてくる可能性があります。
回答の正しさの裏取りは必ず自身で行う必要があります。
🚨生成された他者の登録商標・意匠と同一・類似の商標・意匠を商用利用する
生成物が他者の登録商標・意匠と同一・類似の商標・意匠だった場合は偶然だったとしても商標権侵害や意匠権侵害に問われる可能性があります。
🚨生成された著名人の氏名、肖像等を商用利用する
生成AIを利用して生成された著名人の氏名、肖像等を商用利用する行為はパブリシティ権侵害に該当しますので注意が必要です。
🚨生成物について著作権が発生しない可能性がある
著作件が発生するのかどうかは生成AIを利用しての創作活動に人間の「創作的寄与」があるか否かによって結論が分かるため、生成物をそのまま利用することは極力避け、できるだけ加筆・修正するのが良いとのことです。
🚨生成物を商用利用できない可能性がある
たとえば、画像生成AIであるMidjourneyでは規約上、無料会員の場合に生成物を商用利用することはできないことになっています。
商用利用を検討する際は規約を熟読しておきましょう。
🚨生成AIサービスが独自に定めたポリシーがあることに注意
生成AIのサービスが独自のポリシーを設定している可能性があります。
例えば ChatGPT では以下のような内容および活動を目的に利用することを明示的に禁止しています。
アダルトコンテンツ、アダルト産業、出会い系アプリ
許可なく法律実務を行うこと、または資格のある人が情報をレビューしないままに特定の法的助言を提供すること
企業が生成AIの活用を安全に推進するため
生成AIは便利ですが、使い方を誤れば事故になるリスクもあるので企業が利用するうえでも注意点はきちんと抑えておきたいところです。
大規模な組織ですべてのメンバが利用規約やライセンスの詳細を把握するというのは現実的ではありませんが、ガイドラインを整備しておけば安全に推進することができます。
こういった背景もあって、ありがたいことにJDLAがガイドラインの雛形を企業向けに公開してくれています。策定に際しては公開されている雛形をベースに肉付けしていけると良いように思っており、弊社でもこれを参考にガイドラインの策定をしていこうと動いているところです。
参考著書:
最後に
JDLAが公開しているガイドラインを参考に生成AIの利用時に気をつけたいことをお話しました。
ファンズでも積極的に生成AIを活用していく動きがあり、部署横断でのワークグループが組成されています。もちろんわたしもそのメンバの一人です。
個人的に企業における生成AIの活用は競争力を左右するレベルの事案だと考えているのでワークグループのでの推進にコミットできるよう頑張りたいと思います。
明日、12/8 は Moe Ueta さんが「育休復帰、時短勤務して思うことなど」についてお話ししてくださるようです。
多様なバックグラウンドを持つ社員がいるなか、お子さんをお持ちの Ueta さんが育休を経て感じた良かったこと悪かったことなど、率直なお話が聞けそうです。
お楽しみに。
採用のお知らせ
ファンズでは一緒にお仕事をしてくれる仲間を絶賛募集中です。
金融 + 生成AI というチャレンジングな領域の中でわたしと一緒に生成AIの利用を推進してくださる方も募集中です。
興味を持たれた方、ご応募お待ちしております。
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