コインロッカーベイビーズ読了記録
「自分の中にあるコインロッカーをぶち壊したい」
読了を終えた僕の最初の感想です.
コインロッカーに遺棄され生き残った二人の主人公は
自らのコントロール不能な衝動にひたすら振り回されます.
小説の中では随所随所に化粧が剥がれ落ちる様が描かれ,
そこでは願望がむき出しになり暴力的になったり肉欲的になる人々がおり,
誰もがうちに秘めるエネルギー(欲望)の行き先がテーマだと私は感じました.
あらゆる欲望の中で主人公達は最後まである音を追い求めました.
その音は希望であり,願望であり,恐れの対象でもあり,
彼らは音のために手段は選びません.
自らが持つ衝動をどう昇華したらいいのか.暴力ではだめなのか.
そんな問いを突きつけられているようでした.
私たち人間は弱い生き物です.すぐネガティブになり得ます.
だけど生きているのです.
僕はこの本で一種の臨死体験のようなものをし,生きたい思いが強くなり,
どうせ生きるならばもがきたいとそう感じるようになりました.
この小説に出てくる女性が言うには,
燃え続ければいつか宝石になれるようです.
誰もが持つリミッターをいかに破壊していくか.
それは人生の面白さでもあると私は感じました.