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【短編】"電車小説"

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#小説

夢の続き

夢の続き

【短編】"電車小説" 「夢の続き」

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聞こえてくる...

窓を閉め切っていたって想像がつく

歪なまるい金属が転がり
敷かれた一本の金属に擦れる不協和音

巨大な鉄箱が風を切りさく轟音

敷き詰められた砂利が互いに当たる地響き音

そろそろか...。

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目覚め

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僕はドワーフ

僕はドワーフ

【短編】"電車小説" 「僕はドワーフ」

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気づくと僕はそこで長い間暮らしてる

これは本当に怖いことだ。

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気にも留めず

飛び出そうとはせず

もちろん変化も望まない。

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両の耳穴に指を突っ込みなにも聴かない

嫌いなピーマン、にんじん、玉ねぎ

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📣音声配信第2段📣

📣音声配信第2段📣

【短編】"電車小説"「境界線」

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Twitter投票で同率1位を獲得した「境界線」

音声配信となりました👇

https://anchor.fm/u52a0u85e4-u6e29u5fd7/episodes/ep-efpoae

誰にでも存在する境界線

そこに悩むひとも多いと思います

でもみんな同じだ

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📣音声配信決定📣

📣音声配信決定📣

【短編】"電車小説"「魔法少年」

なんと音声配信することになりました

https://anchor.fm/u52a0u85e4-u6e29u5fd7/episodes/ep-efo4f2

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スキ数上位4作品の中からTwitter投票で選ばれた音声第1作目です

今日も雨模様、、BGM程度に聴いてくれると嬉しいです

他の作品もどんどん音声化していきま

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不思議な夢

不思議な夢

【短編】"電車小説" 「不思議な夢」

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ピチョン

ポチョン

ぽつん

ひねりの足らない蛇口からの一滴が
ステンレスへと落ちる音に似ていて

小学校の廊下を思い出させる

止みかけた雨の音色は心地よくて好きだ。

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いつもは不快でしかないバイクや車の走り抜ける雑

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翔る

翔る

【短編】"電車小説" 「翔る」

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時速約50キロ

左右に流れていく風景の細部まで確認できる私の限界の速度。

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電車の運転をしていると0キロ〜約80キロまで速度を出す。(私の場合)

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不思議なことに前方の風景は何キロ出そう

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魔法少年

魔法少年

【短編】"電車小説" 「魔法少年」

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「昨日関東地方は梅雨入りしました。」

テレビが言ってた。

点けているだけで見ていないから

テレビが勝手に言ってた。

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はっきり言って雨は嫌いだ

大人になってからは特に

朝から着る服に気を使う
洗濯物の予定が狂う
髪型セ

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ラプラスの背中

ラプラスの背中

【短編】 電車小説 「ラプラスの背中」

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ここのところ毎日30℃近い猛暑だ

さらに季節に似合わないマスクなどをして

家に帰ってテレビを点ければ熱中症のニュースばかりで心底うんざりだ

でもまあ早く帰ってキンっキンに冷えたビールでも飲みますか。

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ん?

気が付い

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境界線

境界線

【短編】 電車小説 「境界線」

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ホーム柵の前から車内に向けて
手を振る1人の男子学生

電車側からは生えているかのように伸びる数本の腕たち、、まるでイソギンチャク。

クイクイっと上下に動き手招きしていたり

中の指が一本だけ上を向いていたり

その様子は様々だ。

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暑い季節に出会ったのは

暑い季節に出会ったのは

【短編】 電車小説
「暑い季節に出会ったのは」

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目の奥がじんわり熱く

身体は石のように重い

座席に腰かけ微動だにしない。

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夜勤明け、帰りの電車ではいつもだ

車窓の向こう側には

ブルースカイと真っ白なもくも雲

きいろ赤ピンク緑の夏色たちが日差しを浴びて

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あいつの正体

あいつの正体

【短編】電車小説 「あいつの正体。」

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小さい頃はよく家族でミニバンに乗って遠出したっけ。

そういえば帰り際、車の中でいつも不思議に思っていたことがあったな。

どうして"あいつ"はいつも車の横を付いてくるんだろう?
車のスピードが遅くても速くてもどこにいたって付いてくるんだ。

"あいつの正体"は一体なん

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いつもそれは突然に。

いつもそれは突然に。

【短編】電車小説 「いつもそれは突然に。」

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外気温は最高28℃

それに加え、、マスクのせいか顔の油が浮き出るようなジメジメとした蒸し暑さ。

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平日の昼間、東京アラートもお構いなく電車内の座席はほぼ埋まっている、、ベビーカーの上ももちろん。

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201号

201号

【短編】 電車小説 「201号」

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小型舟がぷかぷか浮かぶ平潟湾

その真横にある茶色と赤の5階建鉄筋マンションはレンガ造りがとてもかわいい。

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朝目覚めて窓の外に目を向ければ、

太陽が水面に反射して眩しくて
窓を開けると風がフワーッ
ほのかに香る潮の匂い。

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雨の日にキリンレモン

雨の日にキリンレモン

【短編】電車小説 「雨の日にキリンレモン」

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6月1日(月)

朝から窓に雨ピチピチ、ぴしゃぴしゃ
どんよりなprelude

部屋には大量のダンボール
マジックペンでキッチン、洗面所、、書類

空っぽの冷蔵庫を開けて、、なにもない、、あぁお腹空いたな

サンダルだけ置かれ片付いた玄関を後にして思った

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