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【物語詩】今年の抱負
すっかり12月になった ある日のこと
「今年が終わるなんて早いなぁ」なんて
お決まりのセリフを何人かが言った
そしてあたしも言って 笑った
1日はいつだって24時間なのに
バイトや勉強はゆっくりと流れて
遊んだり休んだりするときはスキップで
不思議な心のステップに翻弄されてしまう
そしてそのうち来年もきっと言うの
「もうバレンタインの季節かぁ」とか
正月はどこ行った? みたいな
そう言えば 今年の抱負はなんだっけ?
確か初詣の神社で宣言したけれど……
賑やかで 友達みんなが笑顔で
楽しかった気持ちだけしか覚えていない
なんだかモヤモヤしてしまった
記憶の中のあたしは ぼんやりしていて
声にモザイクが掛かっているのが不気味で
思い出そうとしながら
授業を受けて
バイトをして
家に帰って
ご飯を食べて
シャワーを浴びて
宿題をした
……いや 待って 早くない??
たった1つのことを思い出すのに
何時間もスキップしちゃった!!
とほほと呟きながら寝る前の日課をする
小学校の頃から続けている日記の習慣
ひどいときには1行のときもあるけれど
なぜだか なんとか続いている
……いや 待って!?
これを読み直せばいいんじゃない!?
やっとあたしは慌てて日記帳を開く
1年で1冊 初めのページを捲ると
1月のあたしがノリノリで書いた文章が
どうやら 朝から初詣に行って
昼前から予約していたカラオケに行って
夕方に帰宅して
祖父母に電話で年始の挨拶をして
お雑煮とお節を食べたらしい
わりと長々と書いていたけれど
「今年の抱負」の文言はない
書くの忘れたのか……と溜息をつくと
最後に何やらマルで囲った箇所が
「来年もみんなで初詣に行く!」
妙に静かな瞬間が訪れた
そして頭の中の霧が晴れて
はっきりとした声が聞こえた気がした
そうだ あのときあたしは そう言った!
忘れていたから3日坊主だけれど
まだ間に合う 初心を忘れるべからず!
ふと 夜更かしをしていたのに気づいて
慌てて今日の日記を書いた
『「今年が終わるなんて早いなぁ」と言った』
『初詣のことを思い出した』
そして 次のページに予約日記
『みんなに来年の初詣のお誘いをした』
上手くいくかな? みんなで行ける?
明日と来年が楽しみだな!