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「この花壇は美しいね」 あなたは魔法の言葉を紡いだ レモングラスの風に乗って 私の耳元をほんのり染めた 花を咲かせる土である私は 芽吹くことができなくて 渡り鳥のあなたは遠く 遠く 二度と届かない魔法が欲しくて 抱きかかえた心はマグマのように 呪縛されていく 瑞々しい花が一輪 真っ赤に咲いた 人々は突然変異だと感嘆した あんなに青白かった花がと 鳥も近寄らない花を喜ばないで 涙は次の花へ託されて 花壇は眠り姫を始めて 少しずつ 少しずつ 魔法を濾過していく ここは何
どくん、どくんと鳴る 赤い風船が飛んでいました そこから伸ばされた赤い糸 わたしは伸ばした手で支えました 青くはれた空のした 風船と花道を進みます いつしか糸は増えていき 旅はいつも触れて行きます ひまわりの笑顔やもみじの掌 咲いて散って鼻先をかすめます やがてふつり、と切れる糸 風船は雲の上へ流れていきます わたしは最後の糸を握ったままです 心臓のような心に届く色を 指先はまだ、微かな脈動を覚えている