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都市伝説解体センター雑記

まず初めに、この記事は『都市伝説解体センター』のネタバレが含まれる。なのでやってない人が見ることは絶対におすすめしない。オチを知ってるか知ってないかでは、このゲームの楽しみ方は全然変わる。マジで、やってない人間は読まないように。後で後悔するぞ。

ゲーム概要とか

ゲームの感想としては、プレイする推理小説みたいな感じだろうか。選択肢を間違えたところで罰則はないし、マルチエンディングではない(はず)。
ゲームは以下のパートに分かれる。
1.SNS情報収集パート
2.捜査パート
3.都市伝説特定パート
4.都市伝説解体パート
このうち、1と2(この2つはほぼ必ずセット、後半1は省略されることもある)を繰り返し、途中に3が挟まり、最後に4という順番で物語は進む。なお、捜査パート中は集めた手掛かりをもとに仮定を考えるパートが挟まる。このミニゲームは全12ある選択肢の中から3つを選び、文章を完成させるというもの。ミスした場合の罰則はなく、完全に的外れな選択肢はミスして以降は選べなくなる親切設計。また、選択肢が的中しているとその項目は変更不要になる。
全6話で、1話にだいたい2時間ほど時間がかかる。1話クリアごとにメインテーマとエピローグが挟まるが、エピローグ中はメッセージは自動進行するので早送りはできない(スキップはできるかも?)。全部すっ飛ばせばRTAも出来なくもないが、演出上、大勢にネタバレすることになるのでやらないほうがいいかも。

完走した感想

ニンダイに出てからずっと気になってたゲームではあった。逆転裁判とかそういうゲームに近くて、ただゲーム性は低いものの、推理する楽しみは存分に味わえる。純粋に面白いゲームだった。本作は『都市伝説解体センター』というタイトルではあるものの、実際のところ、本作では幽霊や超常現象、超能力などのオカルトな状況は発生せず、すべてにおいて仕掛け人が存在する。映画の『グランド・イリュージョン』に近いかもしれない。蓋を開けてみれば、全部トリックだったのだ。しかし、うすうすネタには気づいていたものの最後の最後にあるどんでん返しには驚かされた。
あのエンディングからして2は出ないかもしれないが、期待したいところではある。
あと、福来あざみちゃんがポンコツ可愛い。

残された(と思われる)謎と勝手な考察

ここから先は自分がプレイしてて残った謎(見逃してるだけかもしれないが)と勝手な考察を記す。

まず第1話について。
仕掛け人の一人である佐藤美桜は福来あざみがSAMEZIMA管理人、つまり如月歩であることを知っていた可能性が高い。理由としては、P活を行い堕胎を経験してる彼女にとって男性というのはかなり危険な存在であるため警戒される。また、彼女に近づいたのはネットで晒上げされて「居場所を失った後」である。ということは、1日目と2日目の間。短期間で急接近できたのは、女性として接触したのではなかろうか。最後に教会の名前を聞かれた際もフツーに答え、あざみを見送っているところからも、彼女があざみの正体を察知しているように思えた。
まあこれは推測でしかないんだが。

続いて第2話。
この話だけ、エピローグに出てくるのが5ソサエティのメンバーではなく、梅木コーポではなくコーポ梅木で発生した事件の女性の父親だ。彼が娘に会いたいが一心でマリと3回唱え、後ろに誰かが出現して終わり、廻屋からきのこが失踪したという話で終わる。
オカルトな展開が本来ない本作においての謎の一つだと自分は思う。おそらく、現れたのはSAMEJIMA管理人(つまりあざみ)で、きのこを攫うよう啓示を与えたのだろうと推測する。

第3話。
皆、プレイしてて不思議に思っただろう。なぜ、最後の最後にガスマスクは一人再びエレベーターを降りたのか、と。これは彼が途中で回収して読んでいなかった「上野天誅事件」の資料にあると思われる。彼が事件後封筒の存在に気づき、詳細な資料が地下にあると書かれていたため、再びあの場に足を運んだ、という考えられる。
それともう一つ、カンの良いプレイヤーなら気づいたと思う。主人公である福来アザミが昔のことについて”ほとんど何も知らない”という違和感に。

第4話。
ここでは立ち寄った村の蔵であざみが蔵の壁に描かれた模様に振れ、不思議な体験をしている。これに関して、作中では深くは追及されていない。怖がらせるための演出の割には、不気味に思えた。絶対に何か意味があったのだと信じたい。じゃないと俺が悲しい。

第5話。
この話が一番謎が残る。あざみが念視で見たドッペルゲンガーは誰だったのか? 作中、4人の仕掛け人の手でCEOをだましたわけだが、実際にドッペルゲンガーはいなかったのだろうか? そうは思えない。もしいないのであれば、あざみの念視には見えないはずである。また、CEOのおやじが持っていたはずの赤いカード型端末が行方をくらました時系列についてもはっきりしない。数年前から使われた痕跡があるにもかかわらず、CEOのおやじのもとから盗まれたのは物語のつい最近の話。にもかかわらず、第6話が始まる時点でCEOの会社の引き出しからドッペルゲンガーによって盗まれている。
どゆこと? 俺がちゃんとログ追いかけれてないだけなんだろうか?

主人公・福来あざみについて。
彼女=SAMEJIMA管理人=廻屋渉=如月歩であることは最後までやればはっきりわかることなのだが、ところどころ、彼女が廻屋渉と同一人物であることを示唆する演出が入っている。
例えば、第5話にあざみがドッペルゲンガーに遭遇するシーン。彼女の後ろからついてくる影の声は廻屋の声、しかし、実際に振り向いてみると(顔は違うが)あざみだったというアレ。ちなみにこの件についてジャスミンには一切話していないのも怪しい。
あと、彼女にはびっくりするぐらい”過去”がない。誰でも知ってるくらいに有名になった事柄(上野天誅事件とか)すら知らない。ジャスミンは”箱入り娘”で片付けてしまっているが、自分は「んなわけねーだろ」となった。また、彼女の私生活は一切出てこない。大学生なのに学生生活すら出てこない。そういうところがとても怪しいと感じた。
そもそも、先にも述べたがこのゲームには幽霊や超常現象、超能力といったオカルト要素は存在しない。つまり、廻屋の千里眼なんて能力事態が存在しないことになる。この時点で、あざみ=廻屋となるわけなのだが、それを悟らせないためのカモフラージュがすごい。完全にあざみの脳にしか存在しないイマジナリーな存在を補填しているのは、相棒のジャスミンだろう。彼女の発言が廻屋の輪郭をはっきりとさせてしまっているのだ。
おそらく、ジャスミンは廻屋には直接会ったことがないはずである。作中、彼女はそのことについて言及していないが、携帯で連絡を確実に入れてくるところや、都市伝説解体後に動画が配信されるため、それであたかも実在する人物のように錯覚したのだろう。ジャスミンはプレイヤーと同じ立場にあったとも考えられる。
正義感が強く、活気あふれる女子大生の福来あざみという人格を作り上げて如月歩という人格を封印し、更にイマジナリーな存在である廻屋渉という存在を実体化させるとか、本当に手の込んだ復習をしたな、と思った。

あとこれは完全に勝手な推測なのだが、これは如月歩の色弱・色盲の世界を再現していると予想する。
本作は独特の色彩で描かれている。基本紺(あるいは黒)と白と赤、時々黄色という5色しか登場しない。また、作中で”色”に関する話は一切出てこない。何が何色か、という話が出てこない。作中で主人公・福来あざみの正体である如月歩はギフテッド、つまり特殊な力を授かったという話が出てくる。彼女には幽霊のように過去の姿が想像できてしまう、というものだ。しかし、そのギフトと引き換えに色を正確に把握する能力を失っているのではないだろうか。
まあ、演出の都合からそうなっているだけなのかもしれないが、もし色弱・色盲のそれを反映しているというのであれば、それはそれでいとエモし、である。ゲームを始めた時点で術中にハマってしまっているということになるのだが、そういうのに「してやられた!」となるのはちょっと気持ちよく感じるのは自分だけではないはず。

最後に、エンディングに映っているのはイスタンブールにある「アヤソフィア大聖堂」だ。なぜ、如月歩はトルコのイスタンブールで新たに都市伝説解体センターを始めたのか。また、そこにジャスミンを招待したのはなぜか。これは次回作への伏線であることに期待したい。
都市伝説解体センターの次は、神話解体センターとかかな?

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