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量子の暗雲

最初にお断りしておくと、文句をたらたらたらた書く。寒の戻りで顔面神経痛がつらくて機嫌が悪い。

昨日、「量子コンピューター新会社、富士通や日立参画 商用化へ」というニュースが出た。

ほんとうに止めてほしい。

量子コンピューターは報道を拾っている限りでも、ここのところ富に盛り上がっている。開発も加速度を増している。
先行きに対し時期尚早との意見もあるが、概ね実装に直づいてきている気がする。

Appleも次期iOSではSMSの量子暗号耐性を強化するようだ。まだ通常のメールやチャットは処理が大変なのかもしれないが、とにかくセキュリティ面でも実用を模索し始めているように見える。

各大学の研究も多岐に渡り、しかもある程度、大学ごとの棲み分けができてきたように見えた。
東大は基本ソフト、電通大や阪大は物性や方式、東北大は利用。他にも旧帝大を中心に相当数のリリースがこの半年で打たれていると思う。
理研、産総研もスパコンやAIとの連携を研究している。
企業で言えば、スパコンから発展させようとしている富士通や、落ち目のところを量子暗号で挽回を図ろうとしている東芝。そして、それらの活用を目論むソフトバンク。
カネ回りは三井物産が企画していたと思う。

なのにさ…

日の丸泥舟体制をまた組むのか?
自分が社会に出てからこっちだけでも、国産大型コンピューターを狙った官製合同会社に始まり、各社が見切りをつけ始めたディスプレイ、持て余した半導体、どれもこれもしくじった。

それはそうさ。最初だけ握手したって所詮、利害関係は解消されない。というか、解消する筋道は付けずに始める。
穿った見方をすれば相手のリソースだけ使わせて、甘い汁を吸おうという魂胆が透けて見える。
現場はそんな事言ってられないけど、何をどうすればいいかわからないから同じオフィスの中で今まで同様、別会社のように仕事を続ける。

別にカネも時間もあり余ってるなら好きにやったら良い。
ただ、世界的にも量子コンピューターの開発速度は加速していて、実用化の道のりは思ったより短くなっている気がする。
デロイトトーマツが技術を買い集め始めたのだから、きっとそうなのだろう。

なのに2030年実用化をめざして会社を起こすなんて。それも失敗しか思い浮かばないJTC合同会社で。
そんなところに貴重なリソースを割いている余裕なんて無いはずだ。

今回は浜松ホトニクスが入っている。場所も岡崎市らしい。全部、押し付けられて技術を盗まれるんじゃないかと危惧している。
日立やNECが量子技術を抱えてるなんて聞いたこと無いし。基礎研究のネタ提供や実装時のハード設計なんかをやるのかもしれないが、だったら富士通1社で良いと思う。

分子研主導も懸念材料としか見えない。
「冷却原子型」の知見はあるだろう。

でも、それは量子コンピューター実現の1方式なんじゃないか?2量子ビットゲートから実用に持ち込むにはそれこそ2030年までかかるかもしれない。
その間に他の方式が商用でバリバリ動いてるんじゃないかと邪推している。

ついでに書いておくと、「量子・AIハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」という動きもある。

こちらはNEDOの公募事業で、請け負ったのはDNPとビプロジー。委託期間が2023年12月~2026年8月、助成期間が2026年9月~2027年8月だそうで、いくら突っ込むのかわからない(未公表だった気がする)。
とうてい、この2社でうまくいくと思えない。

税金の無駄遣いだ。文科省も経産省も一度、きっちり総括すべきだ。なんなら蓮舫先生にやってもらいたいぐらいだよ。
ただ、今はそんな事してるより、まず既にある勝ち筋を何カ所か選定して、そこにリソースをつぎ込んでおくれ、お願いだから。

量子の芽を摘むなよ…

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