「従業員を大切にする」ってどういうことなんだろう
久しくTVドラマって見ていなかったのですが「私定時で帰ります」に、ふんわりとハマって、オンタイムで視聴しています。(来週もう最終回、早い~)
web制作会社の主人公の独身20代女子は、定時で帰るのがモットー。なのですが、責任感は強くて、育休復帰の先輩や働き過ぎのデキる中間管理職、仕事を適切にさばいて振れない上司、無理くり働こうとする新人等の人間関係の中で、もがいているヒューマンドラマです。
で、思い出したのがこちら。
「1日7時間15分」しか働かないならば、殆ど多くの会社は1日8時間労働なわけで、定時より早い!って会社のお話しです。
未来工業の超名物社長であった山田昭男さん(故人)。ステテコで自社の蛍光灯を半分抜いてと節約し、でも岐阜の片田舎の会社にもかかわらず、売り上げ利益が高い!という凄腕社長さんでした。
その方が、自社においていかに時間短く従業員が能動的に働いているのかを記載した本です。(※ただし、現社長の息子さんの語りによると、どうやらノー残業ではなかった模様。そりゃ繁忙期とかありますよね、やっぱり)
ただ、そうだとしても、この本から私が社労士として学んだことは多々あります。大きくは2つ
・会社が儲かっている(アイディアの基礎は社長発)が、重要な要素
・社長が頭だけでなく身体や心から”人間”を知っているし、人間が好き
とにかく、社長の人間的器がでかいのと、会社が儲かっているというのは最強の組み合わせです。前回記事に書いたことに類似していますが、例えば心理学とか組織開発とか、お勉強はできるし理屈を学ぶことは頑張ればできます。しかし、人間の器の大きさとか度量とか肝っ玉とか大きな愛とか、こればかりは残念ながらお勉強では何ともならないのです。
もちろん、山田社長の場合は演劇の心得があったということで、深層心理等よくご理解しているようですが、でもきっとそこじゃないんだろなーって思います。
よく、「失敗してもいいよ、失敗しないと成長しないから」といいますが、実際、どう考えても失敗する確率が高いと思われる方法をとろうとする部下に対して「よし、やってみろ!」といえるでしょうか?
高いコンサル料金を払い、海外MBAを取ったり凄い大学卒の一流の外部コンサルタントが「これは絶対しない方がいいです」というアドバイスを押し切って、「いや、これはうちの従業員たちが考えたアイディアだからダメもとでやってみる!」と言えるでしょうか。
また、会社が儲からなければ、新たな事業に対してリソースが割けないし、人件費増に耐えられません。(とはいえ、ここは、そうしたものに先行投資しなければ会社が儲からないという、ジレンマがあります。)
言葉で「従業員を大切にする」というのは簡単ですが、自分の思うようにならなかったり、協調性がなかったり、反抗的な態度(にみえる)だったり、権利ばかり主張(するように思える)されたり、非生産的だったり、なかなか利益を生み出さなかったり、
そうした出来事に対して、どこまで許容し、どこまで本気でぶつかることができるでしょうか。
「会社のピンチだ、今日は徹夜してでも頑張ろう!」と、下町ロケットの阿部寛ばりに熱く語った時、「あ、私定時で帰ります」と言われても従業員を大切にできるでしょうか。(ここでなんとか、冒頭の内容にリンクしてみました。)
「従業員を大切にする」っていうのは、生半可なことではないように思います。
ただ、いつも定時で帰る人でも、多分、吉高由里子演じる社員で下町ロケットの阿部寛みたいな社長なら、その日は何とか頑張るかもしれません。
定時で帰る人がいつも仕事の時間は一生懸命仕事をしていて、その日も家族の介護等で、どうしても帰らなければならないなら、会社のみんなは喜んでその人を帰すでしょう。
そして、そんな「従業員を大切にする」会社でかつ、ちゃんと成り立つ商売をしているのであれば、どんな時代でも儲かるんじゃないかなー、とちょっと理想も入りつつ、考えてみたのでした。