2021.12.02 阪堺電車①
ことしはもう行くつもりはなかった。3週間前にも行ったんだから。しかしここで「阪堺冬の確変祭り」が発動してしまった。モ161がわりと運用に入るよと公式リリースが出たのだ。毎日走りそうな口ぶりだったが、ここは完璧な打率で勝負したい。となれば確変初日に行くしかない。山陰から空路で一度名古屋に飛び、レンタカーでマルヨ。夜行バスで名古屋に着いた友人と合流して名阪国道を爆走。午前8時前には住吉大社前にたどり着いた。
幸い朝からモ161は運用に入っていた。ラッシュのトラムに揺られて姫松で下車。低い光線と影落ちのバランスに悩みながら場所を探す。日の当たる交差点で斜め前から撮る1,2枚目の構図も正直めちゃくちゃかっこよかったが、モ161の側面を強調させたい気持ちに負けて、本命はサイドから標準でパシャリ。動く骨董品の存在感たるや、想像の域を超えていた。
我孫子道に戻ったモ161、今度は恵美須町運用に入った。すぐさま東粉浜に走り、下町らしい建物の間を走る姿を後ろから撮影。そのまま通天閣バックの構図を組んで主役の登場を待った。正直この場所は車通りの運がすべて。かぶってしまえばそれでおしまいの恐怖がつきまとう。幸い、結果はご覧のとおりである。
今更ながら天気がすこぶる良い。光線を考えながら次に向かったのは、神ノ木駅付近である。おおむね南北に線路が走る阪堺電車、ここだけ東西になるため何かしら撮れるんじゃないかという目論見だ。理想を言えば、2枚目のようにモ161が通ったところに、3枚目のように南海高野線が走り抜けてくれないかな……と思ったものの、そんな奇跡は起こらない。2枚の写真を想像でくっつけるのが精一杯だった。
ここでようやく定番の住吉大社鳥居抜けの写真に挑んでみることにした。この日は鳥居の工事をしていて、写真では切っている方の鳥居の足元にはトラックが鎮座、なかなか構図が限られていた。何本か旧車を撮ってから、本命モ161が戻ってきた。しかしここで見事に一般通行おじさまがフレームイン。なぜ今……と思うも、これは普段の行いの結果。甘んじて涙を飲んだ。
そのまま歩いて細井川を渡り、歩道橋の上から踏切を見下ろすことにした。2車線の通りを1両の路面電車が塞いで通るのはもの珍しいようにも感じられる。踏切で止まる車の量なども勘案しながら画角を作っていざ本番。吊り掛けの音が、令和の街にこだました。
住吉界隈から離れて再び上町線沿線へ。北畠で降りて、専用軌道から併用軌道に出てくるところを狙う。ここも案外車通りがあると一瞬で被ってだめになる運試し要素があるが、今回は首尾よく撮ることができた。本当はもう少し引いて専用軌道を見せたいところだが、影落ちの具合でどうにもならず。難しいねこりゃ。