2021.11.09〜11 阪堺電車③
午前9時を過ぎると、だんだんと天気も良くなり青空も見えるようになった。ようやく順光で撮る撮影地リストが意味を為してくる。とはいえバリ晴れではないので猫の目天気と戦うことに変わりはないのだが。
阿倍野から歩いて今池駅を目指した。今池駅周辺のいま私がいるエリアは、飛田地区からの延長、阪堺をくぐればすぐに釜ヶ崎。西成のタイムズスクエアとも言える一等地にあるのが、スーパー玉出である。大阪の代名詞的なスーパーではあるが、案外阪堺電車と絡んで撮れる場所はここくらい。ちょうど順光の強烈な看板とともに、青空と同じ色の車体がファインダーに滑り込んできた。
今池から北天下茶屋まで電車に揺られる。昼間の阪堺線はほとんど人も乗っておらず、車内でついカメラを取り出した。無骨ながら懐かしさを感じるデザインは、路面電車に共通する趣がある。差し込む陽の光が画に彩りを与えた。
南海を撮るなどした後、上町線の併用軌道区間に戻ってきた。際立って撮りどころのある区間ではないかもしれないが、昔ながらの路面電車という雰囲気は、とさでんの朝倉に近い何かを感じる。やってきた車両もモ503。ラッピング塗装も、前面だけ見ればこういうもののようにも見える。
また北天下茶屋に戻って、路地の隙間にカメラを据えた。私が調べた限り、阪堺沿線で一番の路地凝縮エリアがこの北天下茶屋。車はまず通れないような狭隘路に、商店が立ち並んでいる。50年前から変わらないんじゃないかといった書店を絡めて1枚、次にノスタルジックな看板とシャッターを強調して1枚。街の雰囲気の中を走る電車の姿を記録した。