2021.09.02 札幌市電
朝、ベッドに差し込む陽の光で目が覚めた。カーテンの隙間から見えたのは、抜けるような青空。Twitterを開くと、余命2か月にまで迫ったM101が終日内回り運用で入っているらしい。この秋口のいい天気を無駄にするわけにはいかない。二度寝の予定を取りやめ、カメラバッグを担いで街に繰り出した。
こんな朝早くから写真を撮るのは久しぶり。せっかく起きたのだから、まずは東からの日が順光となる場所として、東屯田通電停に目をつけた。安全地帯にあまり長時間いるのはよろしくないので、運用の当たりを付けてパパっと撮影。去りゆく外回りの246を仕留めると、遠く電車事業所のカーブを曲がってきたM101が視界に入る。300ミリ望遠を構えて古老の活躍を切り取った。なによりも光線が素晴らしい。
移動中の車内が比較的空いていたので、目立たない銀塩カメラを手にしてみた。251のマスコンや降車ベルは趣を感じさせるものばかり。夏の日差しを余白に入れて旅情を掻き立てる写真が撮れていればいいのだが。まあ札幌市電に旅情も何もないような気もする。
ここもこれまでは午後に西側から撮るばかり。東側から撮れるものがないかと歩き回ってみたが、これだ!と思える場所には出会えず。とりあえずM101が来る前に、背景がちょうどよさそうな場所で広角に構えることに。しかし、直前の8512は予想通りの構図となったものの、M101はゲリラ雲にやられた。近頃ラッピングとなった212との遭遇は悪くなかったのだが……。天気ばかりは仕方あるまい。
午後になっても西線にいた。背景がちょっと違うだけで似たような写真となっている気がしているが、動いている車両を撮らないわけにはいくまい。M101をファインダーに捉えながら、車の動向も伺いシャッターを押す。車が全く無いほうが車両狙いとしては良いのかもしれないが、ごちゃごちゃ感も路面電車らしさ。車両にかぶらなければいてくれてもいいと私は思う。そのまま振り返り、西線14条電停に止まる姿を狙っていたら、またもや212とのコラボ写真となった。
西15丁目電停は、市電のカーブが見られる場所。電車事業所前でのカーブは先日撮影したので、今度はこちらで撮影。練習がてらド派手なラッピング車の離合にシャッターを切る。なんとなく画に華はある気がする。そのまま少し待ち、M101の登場。前パン運用のおかげでサイズの収まりが良くてなんか好きだ。
リベンジとなる環状通の望遠写真。練習の211は、いい具合に8501と被り、緑の2編成がコンパクトに収まった。手前の車の数ばかりは運なので致し方ない。しかし、またもやM101はゲリラ雲にやられてしまった。車の数が少ない好条件だっただけに、悔やまれるがこれもどうしようもない。またのチャンスがあることを願うばかりである。
左下に市電が通っているのが見えるだろうか。札幌に残された原生林、円山山頂からの景色である。切り位置となる南9条通に日が差すのは、持って秋分くらいまでと聞く。つまり、この9月上旬がM101を撮るならばラストチャンスである。練習として8500、211と俯瞰で仕留め、迎えた本命のM101。雲は少し気になるが、札幌市街が一枚絵で収まる構図としては及第点だろう。ポラリスとの離合となったのも世代交代を感じられて嫌いではない……が、M101だけのも撮りたい気も……。