2020.10.31 近鉄鳥羽線
前回の遠征から1ヶ月。今度は年に1度の長期休暇を頂いた。本来であればヨーロッパトラム遠征と意気込んでいたが、さすがにコロナ禍。渡欧はほとんど不可能とあって、国内の俯瞰を攻めることにした。仕事終わりに新千歳空港から飛ぶのが我々の花金。羽田に着くやいなや友人の車に乗り込んで夜の新東名を疾走。翌日の午前には伊勢神宮までたどり着いた。
今回は伊勢志摩スカイラインが主戦場となる。スカイライン上には展望台が点在していて、だいたい近鉄鳥羽線が見下ろせる。まずは朝熊山頂展望台から小手調べに池の浦方面を俯瞰する。この位置だと近鉄は見かけ上縦に走り、構図的にあまり列車が目立たないので、(たぶん)ACE型1本だけ撮影。抜けの良さが確認できた。
朝熊山頂からハイキングコースを歩き、勘吉台展望台にまで来た。眼下に朝熊駅近くの陸橋をはじめとした線路が広がる。穏やかな秋の日差しのもと、ビスタⅢ世や8連特急、さらには青さが輝くしまかぜと、近鉄が誇る特急車両を抑えていく。まさに俯瞰日和。そのまま視線をずらすと、森の中を走る区間を見つけた。あえて望遠で山だけを切り取る構図にする。これだったら被写体は近鉄汎用カラーの2連の方が似合うところ。切り取り方だけで山岳路線感を演出してみた。本当はそんなことないのに。
今度は少し鳥羽側に車を走らせて、線路を見下ろせる場所でカメラを構える。まずは縦構図で伊勢湾から対岸の知多半島までを入れ込んだ構図を組み、(たぶん)アーバンライナーでパシャリ。次に広めの横構図として待っていると、1編成だけの1440系三重交通志摩線リバイバル塗装車がやってきた。さらにそこにしまかぜまで登場。近鉄の将来を担う青い特急と、歴史を支えた緑の普通列車。見事な共演を切り取ることができた。
今度は伊勢側に戻って、一宇田展望台に車を止めた。こちらも陸橋上を切り取る箱庭的な俯瞰になりそうだ。さまざまな特急車両で構図を抑えていくが、ようやく登場したのが真打ちスナックカーである。近鉄の古老はすでに引退の噂でもちきり。8連で来てくれた以上しっかり記録しなければならない。ここまで粘った甲斐があったというものである。さらにそのまま待っていると、2連の混合編成だが再びスナックカーが登場。今度は望遠でさらに車両を強調して撮影した。
近鉄鳥羽線に並行して走るのがJR参宮線である。観光客は近鉄利用が多い印象だが、こちらも地味ながら列車は走っている。一宇田展望台から線路が見え、ちょうどいい時間に列車もあったのでせっかくだからと一枚撮ってみることに。非電化区間だけに撮影はしやすく、橋を渡る列車をシンプルに切り取ってみた。
やってみたかった2連トンネルの飛び出し。本当ならスナックカーでやりたかったが、夜まで来ないことが運用上ほぼ確定したのでこの2系列で打ち止めとなった。とはいえ、今回は機材の関係で三脚がなく、手持ちでこの微妙な構図を決めるのはなかなか難儀なものだった。光線が良いだけに少し悔いの残る写真である。