2021.12.02 阪堺電車②
早起きは三文の得というが、たしかに日の短い冬に早朝の数時間を失うのはもったいない。まだ昼前ではあったが、撮れ高は順調に積み重なってきていた。天気は相変わらず抜けるような青空。晴れていないと暗くて戦えないモ161を撮るにはこの上ない天気である。
次は恵美須町運用ということで、北天下茶屋まで先回り。20〜25分に1本という都会のローカル線に甘んじているこの区間、いずれ廃止になるのではないかと思ってしまう。駅近くの踏切から青空と路地を絡めて撮影し、そのまま駅に止まる情景を、まっすぐ伸びる線路とともにカメラに収めた。
恵美須町からの返しはハルカスバックで。東玉出のガード下でカメラを構えた。縦構図も横構図も色々とごちゃごちゃしているが、間違いなくハルカスだけはそこにある。下町っ子のスカイツリーのような安心感である。353のケツ撃ちも頂戴してから、本命モ161を切り取った。
そろそろスナップ的に撮りたい時間帯に差し掛かってきた。光線というより気分の問題である。帝塚山エリアでどうにかこうにか撮れる場所はあるまいかとさまよい、帝塚山四丁目の電停周りで実に「ちょうどいい」一角を見つけた。もうこれはちょうどいいとしか言えないのである。ああちょうどよかった。
ド定番松虫のハルカスバックは午後になってが順光タイム。確変初日かつ定番とあって、線路脇の歩道には10人ほどがカメラを持って主役の登場を待っていた。前のときみたいに正面からとも考えたが、ここはあえて側面気味に撮ってみよう。まだ新しさの残る超高層ビルと、齢90を超える古老のセッション。いつまで見ることができるだろうか。
だんだんと日が西に傾いてくると、住宅密集地の阪堺沿線は影落ちがひどいことになる。次の運用は恵美須町。確実に影落ちしない場所と考えると、今池今船の橋を渡る半高架区間と当たりを付けて向かった。おおむね狙い通り。ただ画の収まりは意外と難しい。あえて電柱を入れ、西日とのコントラストにしてみたものの、これで良かったのかなあ。
完全に太陽は建物の向こうに姿を消した。しかしまだ露出は稼げるし、モ161も元気に走っている。どうせ影なら南にカメラを向けようと、画角的にはわりと好きな住吉の専用軌道入り口へと向かった。構図は前回撮ったとおり。最新の堺トラムと、古老のモ161。同じ線路を走る佇まいの違いを堪能できた。
最後は我孫子道停留場。駅前のアーケードはこの1か月で撤去されてしまった。夕方になり学校終わりの学生もカメラを持って集まりつつあり、さながらさよなら運転のような雰囲気に。であればその雰囲気も入れて撮ってしまおう。レトロな駅と絡めて、天王寺へと向かう車両を見送った。