2021.11.25〜26 長崎電気軌道①
この年の長期休暇も、到底海外に高飛びできるような情勢ではなかった。とはいえ国内の感染者数だけで見れば落ち着いているのも事実。であればまだ訪れていない国内トラムを巡るのが妥当な選択であろう。短い休みではなかなか行けない場所という条件で思いついた目的地、それは九州だった。
この日の長崎の日の出は午前7時ごろ。北海道に住んでいるとずいぶんと遅く感じる。しかも東側を山に囲まれた長崎市街では、日がさすのは8時近くになってから。晴れてこそいるが、まだロケハンメインの時間である。朝から崇福寺方面は本数が多く、古くの塗装を維持する200形や500形も時折やってくる。見るだけではもったいないので街と絡めて撮影。運用も悪くなさそうだ。
東西に伸びる電車通りに太陽が顔を見せた。ドンピシャの光線である。西浜町の両分岐線路を通る列車は眩しいほどにフロントガラスが反射し、旧車の顔にも立体感が生まれる。市内繁華街としての町並みと朝の活気をカメラに収める。通勤時間だからか、車が多く被りがちなのが難しいところ。
朝ラッシュも終わり、だんだんと運用も見えてきた。他都市と比べると原色旧車がそこそこ走っているのはありがたい。旧車を追いかけていると、4系統と5系統が走るめがね橋周辺にたどり着いた。本数は多くないが、中島川を渡る橋など見どころがある。橋や街を絡めて構図を作ると、原色の他にBOSSの塗装車も現れた。派手すぎない広告がちょうどよくて気に入った。
そのまま市民会館まで歩くと、イチョウの紅葉が見頃を迎えていた。運良く光線もドンピシャの時間。車との被りの難しさに悩まされつつも、特別塗装のミナトトラムと、赤原色の1500形をゲット。ヨーロッパの角タトラことT6を思い出すフォルムと色合いがいいアクセントになってくれた。
そのまま乗りつぶしも兼ねて終点の蛍茶屋へ。車庫が入る建物の屋上駐車場から駅を見下ろすことができた。広めの構図にすると、坂の町長崎がひと目でわかる背景の中に、出発を待つ車両がちょうど入る。架線は少し気になるものの、長崎らしい風景を切り取れたのではないか。
結局アーケード街が好きなのだ。今度は赤迫側を乗り潰すと、住吉にちょうどいい商店街を見つけた。ギリギリ光線が持つうちにとまずは線路際からアーケードをあしらえて1枚。続いてはアーケードをくぐり、JR長与線側から望遠でぶち抜いて、アーケード越しのカットを1枚。露出差と車通りが難儀なもので、朝方に行ったほうが良かったのかもしれない。