2021.11.30 一畑電車
九州、四国ときたら今度は山陰である。所用があって向かったのだが、カメラを持って普段行かないエリアに行くのに、撮らない道理はどこにもない。せっかく借りたレンタカーの減価償却に勤しむべく、見たことすらない異郷のローカル私鉄に照準を定めることにした。
フォーゲルパークの展望台に登ろうかと思ったものの、有料のため撤収。なんというか、そこまでの気持ちになれなかった。少し松江方面に戻って、国道沿いで見つけた木が色づいているポイントにカメラを構える。現れたのは7000系。一畑電車86年ぶりの新車である。この会社の歴史が垣間見える単行電車、今後も増備予定らしく、一畑の顔となる日も遠くないだろう。
続いては定番スポットの鳥居。とはいえ行ってみると案外構図を決めるのが難儀なものである。住宅街でカメラ片手に首を傾げながらうろつく姿は不審者として何ら申し分ない。なんとか通報もされず、鳥居と車両と紅葉のバランスが良い画角を見つけてファインダーを覗いて構図を作る。数分でオレンジの元京王車が飛び込んできた。
ずいぶんと天気が悪くなったものだが、ここまで5日間の好天を考えると致し方なさしかない。出雲大社の鳥居の一つが写せるスポットだが、こうも暗いと構図を決めても気分は乗らない。挙げ句、踏切がなると同時に雨粒もログイン。車両こそ良いものの、舞台の準備は全く整わぬままゲームセットとなった。
傘がないと風邪を引くほどの雨になった。引き上げるのももったいなく、訪れたのはスイッチバックの一畑口駅。時刻表を見ると、もうすぐ離合があるようだ。雨傘片手に待っていると、新車と旧車が肩を並べてホームに登場。数分の停車時間、ノスタルジックな駅の雰囲気を味わうことができた。