2021.11.28 伊予鉄道市内線
連日のストイック撮影旅行の代償はシンプルに体力である。年齢を重ねるごとに車中泊が堪え、寝ても疲れが取れなくなってくる。これが現実なのだ。この日も予讃線での撮影を終えた時点でクタクタ。学生の頃よりは少し裕福になった懐につい頼ってホテルを取ってしまった。そこで素直に寝ればいいものを、ちょっと飯でも食いに行こうなんて言いながら、伊予鉄相手の夜戦に繰り出してしまったのである。
松山を訪れるのは5年ぶり、市内線をちゃんと見るのは実に9年ぶりだった。ツートンの車両はみかん色に塗りつぶされ、低床車もずいぶんと幅を効かせていて時の流れを感じさせる。塗装は正直前のほうが好みだが、まだまだ旧車が活躍しているだけでもありがたいと思おう。ホテルを出てすぐの松山駅前から市駅に向かって撮り歩くことにした。
大手町は日本唯一の路面電車と郊外電車が直角に交わる駅だ。レールもすごいし、異なる電圧の架線が交差しているのも地味にすごい。さすがに夜戦で交差の様子を狙うのはちょっと厳しいし、架線のスパークもなかなか光らない。交差の線路を光らせて撮ってみることにした。
松山城の堀の周りを歩き、南堀端の分岐までやってきた。露出は全く稼げないが、背景に市駅の観覧車がよく見える。電飾が同時に全部光ってくれない寂しさもあるが旧車と併せて撮影。そのまま市駅に向かうと、またちょうどいいアーケード街が目に留まる。「花園町」の電飾がとてもいい感じである。ちょうど現れた低床車を一応撮影。旧車を待つ元気はもうなかった。
市駅には夜間停泊があるようだ。停泊に現れたのは2006号車。これだけでも画になるなあと思ってカメラを取り出すと、折返しの51号車が登場。旧車同士の並びが実現した。止まっているのでシャッタースピードも稼げてありがたい。雰囲気はなんとも言えないが、夜の休憩を切り取った。