2024.02.10〜11 モンゴル縦貫鉄道②
冬のモンゴルはおおむね晴天で撮影にはもってこいの天候である。ただ気温は寒く、朝晩は氷点下30℃を下回る日もある。さらにウランバートル市内は渋滞による排気ガスや石炭ストーブの大気汚染がひどく、大俯瞰を狙うにはヌケが悪いことが多いこともわかった。貨物スジが一切分からない中、どう移動してどんな画を撮るか、運次第の旅も悪くないものである。
翌朝、まずは前日も行ったホンホルΩカーブへと向かう。モスクワから北京までを7日間かけて走る4レを撮るためである。週1便のこの列車は、ダイヤ上日曜の8:10にこのΩカーブに差し掛かる。この日の日の出は8:04、うまくいけば朝焼けバックが狙えるはずだ。
山肌をよじ登り三脚を据える。まずは北行の貨物が登場。これがホンホルで4レと離合してくれれば完璧……なのだが、離合したのはこれまた貨物。良い時間に来てくれたので良い撮れ高はあったが、結局本命の4レは来なかった。悲しいね。
4レが来ないことに肩を落とす暇などなく、昨日も撮った275レを朝の低い光線で撮るべく移動しなければならない。俯瞰から移動してΩカーブの麓に位置する高台に急いで登るやいなや、ウランバートルへ向かう客レの汽笛が遠くから聞こえてきた。あとはもう撮るだけ。勝ちは確定、最高の朝を迎えることができた。
ついでにホンホルで離合した南行の貨物も同じ高台から反対側を向いて撮影。同じコンテナが連なる編成美と、ホンホルの街が映ってこれまた良い感じである。
ホンホルカーブ周辺にばかりいても芸がない。南の方で当たりをつけていた撮影地を探す。しかし夏の航空写真で見える道が、冬にあるとは限らない。雪原を無闇に走り、見つけた轍を辿って丘を越える。たどり着いた小高い場所から線路が見えたので、ここで撮ってみることにした。
まずは北行貨物が来そうな雰囲気を感じて撮影。ケツは切れるが悪くない。続いて南行貨物が来ると信じて待つ。長大貨物なら手前に釜を引きつけても、後ろまで貨車が連なると踏んで構図を組んだものの、左奥に隠れている線路が思ったより長かったようだ。狙いの画とはならなかったが、山に挑む線路は表現できたことにしよう。
少しだけ北に戻り、ドライバーに「あの山に行きたい。途中からは歩いて行くから」と伝えてみたら、轍を辿って山頂まで行けてしまった。ランクルもドライバーも凄すぎる。
目論見通りの景色が広がってはいたが、想定外なのは強風。モンゴルはずっと風が穏やかで忘れていたが、山頂は風が強いんだった。風に耐えながら南行の貨物を待ち、少し短い編成だがうまいことGET。市街から離れたからか、空気のヌケもいい感じ。さらにゲルと一緒に撮れたのがモンゴル感あって良かった。
南への逍遥を終えて、ホンホルΩカーブへ三度目の登頂。俯瞰としての総合点が高くつい来てしまう。狙いは14時頃にこのカーブを通過するはずの北行23レ。なんかもうどうせ来ないんだろうなと思いつつ貨物を撮って待ち、案の定来なかった。リサーチが甘いのかもしれないが、国際列車のダイヤはもうなんもわからん。
最後の一枚は、ウランバートル市街にも近い橋のたもとから撮ることにした。ここなら前日撮った276レも影落ちしないで撮れるはず。気温も暖かくなり、列車を待ってると北海道にいるような気持ちになってくる。ほぼ定刻通りで列車は現れ、西に傾いた最高の光線を浴びて通過。我々に最高の写真を与えてくれた。
翌朝、再びMIATの客となり帰国。2日間の強行日程でも、天気が安定していること、そして貨物がほどよく来てくれるおかげで良い結果を得ることができた。